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2016/10/29 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR SAPPORO● PENNEY LANE24

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」8日目の札幌公演を見てきた。

札幌公演の前日に大森さんはChim↑Pomの新作個展「また明日も観てくれるかな?~So see you again tomorrow, too? ~」で行われたオールナイトイベント『ART is in the pARTy』に弾語りで出演しており、そのイベントにはシークレットゲストとしてあの小室哲哉さんも出演してライブを行った。そのライブの模様はYouTubeで配信されており、札幌へ行くために朝4時起きの予定だったが小室さんのライブが終わる1時半まで起きて見てしまった。

朝は何とか予定どおりに起床して空港へ向かい、札幌行きの飛行機に乗った。この日はライブが終わった後もエンドレスな展開になる予感がしていたこともあり、札幌到着後は行列のできる味噌ラーメンを食べに行った以外はライブの開場時間までゆっくりと過ごした。

今回のツアーでは、弾語り公演は全て前売でソールドアウトしているものの、バンド編成の公演は今のところ仙台を除いて当日券が出ている。僕は今年の夏に、ピエールフェスから始まってフジロックap bank、ロッキン、ライジング、サマソニ、ワーハピ、ベイキャンプと様々なフェスに行って数多くのアーティストのライブを見てきたが、それを通じて今一番見るべきアーティストだと思ったのが大森さんだったので、まだまだ大森さんのことが知られておらず百人単位のライブハウスすら完売しないのは少し残念だと思っている。いつか「今では考えられないけど、TOKYO BLACK HOLEツアーの時はライブハウスのキャパでも完売していなくて、当日券も普通にあったよね」という会話をする日が来るといいなと思う。

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大森靖子ファン街中で4:44の写真撮りがち(これはさっぽろテレビ塔

会場であるPENNY LANE24へ着くと、既に会場横に大勢の人が整理番号順に列を作って待機していた。顔を見慣れた人達もたくさんいて、今回の遠征組の多さは九州以来だったと思う。札幌は10月とはいえ東京の真冬並みの寒さで、それにも関わらず意識高いTで待っている人もいて、これから始まるライブへの意識の高さを感じた。

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これ以降、ライブの内容についてなるべくネタバレにならないように書いているが、セットリストやMCなどの内容について触れているため、気になる方はこれ以降読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

PINK

ミッドナイト清純異性交遊

生kill the time 4 you、、♡

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

非国民的ヒーロー

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

さっちゃんのセクシーカレー

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

SHINPIN

呪いは水色

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

マジックミラー

 

これまでのツアーでは、大森さんは“ピンクメトセラ”の縷縷夢兎の衣装、新⚫zのメンバーはTOKYO BLACK HOLE Tで揃えていることが多かったが、今回は何人かが新しい衣装で登場した。後のMCでこの衣装は発注が遅れていてやっと届いたものだと言っていた。

この日も“PINK”からスタートし、“ミッドナイト清純異性交遊”ではお客さんが一気に前の方に押し寄せる盛り上がりだった。“生kill the time 4 you、、♡”が終わるとMCに入り、北海道に来るのはライジングサン以来で、その時はお客さんに来てもらうために鼻セレブを配ったが、今日は鼻セレブを配らなくてもこんなに人が来てくれて嬉しい、札幌の皆さんは寒い所なのにとても暖かく迎えてくれるので、その一人一人の熱量を丁寧に音にしていこうと思う、と言って“イミテーションガール”へ。

“非国民的ヒーロー”の後のMCでは、1年半前の洗脳ツアーの時に北海道へは弾語りで来ていて、私はよく弾語りが一番と言われるのだが、北海道だけは「何でバンドで来てくれなかったんですか!?」と言われて、それが嬉しかったので今日はバンドで来たと言うと、お客さんから大きな歓声と拍手が起こった。それに乗っかってピエール中野さんがドラムをドンドン鳴らすと、大森さんが「こういうのムカつくけど(笑)」と言い、中野さんが「なんでだよ!盛り上げてるんだよ!」と反論すると、また大森さんが「お客さんはそれぞれのテンポで盛り上がってるからそういうのされたくない」とふてくされた感じで言い返し、中野さんが「それを許容できるのが大森靖子じゃないの?」と上手い切り返しをすると、大森さんが「やんのかコラァ!」とキレる(演技をする)という掛け合いがあり、その間ずっとお客さんから笑いが起こっていた。

“ピンクメトセラ”の後のMCでは、今回のツアーで欠かさずしているDMの話をして、これは大森靖子の規模が大きくなってもこのペースでやっていきたいと言っていた。これまでのツアーでは目の前のお客さんに対してDMを送ってほしいと呼び掛けていたのが、この日はもう一歩踏み込んだ言い方をしていたのが印象的だった。そして大森さんがお客さんに「今日嫌なことあった人?」と質問し、何人かのお客さんから答えを聞いた後、風俗嬢の友達から「稼げない」と八つ当たりされるという女性を“絶対彼女”のソロパートに指名した。その女性にはナナちゃんピックがプレゼントされ、本番のソロパートではお客さんのケチャを浴びながら見事な歌声を披露していた。

“絶対彼女”を歌い終わった後、風俗嬢つながりで闇金ウシジマくんの作者(真鍋昌平さん)の漫画に「大森靖子」と刺青を彫った風俗嬢が出てきたことがあって嬉しかったという話をしていた。

そして、今回のツアーでライブを見た人がネタバレを気にしてツイートしないようにしてくれているが、感想が分からないので大丈夫かな…と思っていたが、今日皆の目がバターサンドみたいに優しくなっているのを見て大丈夫だと思ったと言っていた(この後ギターのあーちゃんさんがバターサンドのモノマネ(?)をしていて大森さんが一人で爆笑していた)。他にも色々と話が飛びまくっていて、以前に話していたことも多かったのでここでは割愛するが、最後にギターの畠山健嗣さんが「セトリが長いからと言ってスタジオで話し合って削ったあの時間はなんだったんだ…」と言うくらい長めだったMCを終え、“劇的JOY!ビフォーアフター”に入った。

“さっちゃんのセクシーカレー”に入る前のMCでは、今回のツアーで度々している、この曲のモデルになったライバルについての話をして、ライバルと思う人はあまりいないが、演歌歌手やオシャレな人、顔が面白い人はカッコいいと思う、私のライブに来る人は顔が面白くて最高だと思っていて、今は感受性を殺して楽に生きている人が多いが、皆はちゃんと一つ一つの出来事を顔で受け止めているからちょっとずつ歪んでいて、その歪みが美しいと思える、そうやって真っ当に傷ついた人間だけが得られる喜びをライブで作っていきたい、という話をしていた。ちなみに、“さっちゃんのセクシーカレー”のアレンジがこの日のライブから少し変わっていた。

“オリオン座”では、この日も入場時に配られた歌詞のプリントを見ながら観客も一緒になって合唱し、終わった後には所々で鼻をすする音が聞こえた。このライブの2日後に配信で行われたLINE LIVE(大森さんの弾語りとゲストの根本宗子さんの一人芝居を交互に行い、配信中にLINEの大森さんの公式アカウントからメッセージやスタンプが送られる演出もあってとても面白かった)の中で、この“オリオン座”が次回のシングルになることが発表された。次回のシングルは10月26日発売の“POSITIVE STRESS”のファンクラブ限定盤に収められている、“大森靖子弾語りDEMO集楽曲総選挙”の中の“オリオン座”“春の公園”“ARUKU”の3曲から投票によって選ばれることになっていたが、“オリオン座”が圧倒的な支持を得て選ばれた。個人的にもこの曲がデモのまま終わる未来は考えられなかったので、シングル化されることになってよかったと思う。

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、今日は1人でライブに来ている人もいると思うが、私は自分で見てきた景色や自分で選んで手に入れたCDや漫画とかで人格が作られていると思っていて、でもそれが共通する人があまりいなくて自分は「ジョーカー」っぽいと思って寂しかったけどその孤独は大事だと思っていること、自分の女の子に対する汚い愛情や、性別は2個や4個ではなく3億個位あってそれが日によって変わると思っている感覚が自分だけなのかなと思って寂しいと感じていたが、それが“さっちゃんのセクシーカレー”や“少女漫画少年漫画”という曲になっていること、最新アルバムのTOKYO BLACK HOLEでそういった昔のことを歌っているのは、東京に来てやっとそういうものが武器になったからだと気付いたことなどを話して、そのTOKYO BLACK HOLEから他のツアーではまだやっていない曲ということで“SHINPIN”を歌った。

アンコールのMCでは、北海道は大森さんのファンクラブの会員数が東京と大阪の次に多くとても楽しみにしていたのだが、本当に楽しかったと言ってお礼を述べてから、バンドメンバーを一人ずつ紹介して呼び込んだ。畠山さんは普段呼び込まれることがないとのことで歩き方がぎこちなくなってしまい、大森さんがピアノの発表会で緊張して手足が揃ってしまう男の子みたいだと言っていた。ベースのえらめぐみさんは、大森さんに隙があってエロい、エロめぐみだと言われていた。中野さんは滑り止めが付いていて叩きやすいというピンク色の五本指ソックスを足を上げて見せていた。バンドメンバーの紹介が終わると、大森さんがナナちゃんを連れて来て、「1、2、3、4、5、6、ナナー!今ヤれるアイドル!特技は処女膜再生ステッキを使って処女膜を再生することです!出身が札幌ということで、今日は凱旋ライブでーす!」と自己紹介をしてナナちゃんコールをした後、「お前もお前もお前もお前も…セッ◯スしてやろうか!」と聖飢魔Ⅱ風の盛り上げ方をしていた。最後に、皆の見ているこのバンドも自分でカッコいいと思っているが、それよりも自分が見ているこの景色の方が美しいと思っているので、ここに鏡を貼ってそれをそのまま音にして返したいという曲、ということで“マジックミラー”を歌ってこの日のライブは終了。

個人的にこの日のライブは畠山さんのギターがとても格好良いと思った。技術的なことは詳しくないので分からないのだが、出音が前回までよりも格段に良かった感じがした。その分あーちゃんさんのギターなどとの一体感は少し薄れたような気がしたが、個人的にこの日の畠山さんのギターは今までで一番痺れた。また、この日は全体的にもパフォーマンスが良くなっていた印象があり、特に本編最後の“音楽を捨てよ、そして音楽へ”では、大森さんが最前にいたしなもんさんの手を借りてフロアの柵へ飛び移り、観客に突っ込んでもみくちゃになっている姿も愛に溢れていたし、その時にステージで今までにない鬼気迫る演奏をしているバンドメンバーの姿も目を見張るものがあって、正に「眼球足んない」となる凄まじい光景が目の前で繰り広げられていて、見ていて思わず笑ってしまうほどだった。この日のライブを見た人の中には、今までの大森さんのライブで一番良かったと言っている人もいて、それも頷けるライブだったと思う。

また、MCで曲を削ったと言っていたが、キーボードのカメダタクさんがいた名古屋・仙台公演のセットリストと比較すると、大森さんのキーボード弾語りの“キラキラ”と“KITTY’S BLUES”、そしてアンコールの“少女3号”が削られていて、一方で“PINK”と“非国民的ヒーロー”(仙台公演では弾語りでやっていたが、その分“生kill the time 4 you、、♡”が削られていた)が追加されていたので、トータルでは1曲少なくなっていた。個人的には“少女3号”が削られたのが少し残念だったが、この札幌公演はそれを全く不満に感じさせないライブだった。

ライブ終了後、地元と遠征組の大森さんファン十数名で居酒屋に行って反省会をした。ファンクラブの会員数が東京、大阪に次いで多いというだけあって、大森さんへの愛に溢れた濃い人達ばかりで楽しかった。野暮なので詳しくは書かないが、特にカオスちゃんは最高だった。二次会ではジンギスカンを食べに行き、その後はまた居酒屋で朝まで過ごすという予想どおりのエンドレスな展開だった。解散後に一旦ホテルへ戻り、少し仮眠を取ってから新千歳空港へ向かい、飛行機で東京へ戻った。

北海道には今回食べられなかったグルメがまだたくさんあるし、地元の大森さんファンの皆さんにもお会いしたいので、ぜひまた訪れたいと思う(そしてカオスちゃんにはぜひまた盛大に奢ってほしいと思う)。