2018/01/29 ごっちん葬儀スピーチ全文

この度は真介君のご家族、知人・友人の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。私と真介君は音楽の趣味を通じて知り合った友人です。特に二人とも大森靖子さんという歌手の大ファンでした。知り合いのファンの間では真介君のことを「ごっちん」とあだ名で呼んでいて、今日はそんなごっちんさんに宛てて手紙を書いてきましたので、そちらを読ませていただきます。

 

ごっちんさんへ

まずは、39年間お疲れ様でした。この冬はごっちんさんが入院する前まで大好きな大森靖子さんの全国ツアーを一緒にまわり、そして1月20日のツアーファイナルの中野サンプラザ公演も一緒に見られてとても嬉しかったです。今日は、僕が中野サンプラザ公演の日にご家族と一緒に病院から会場までごっちんさんに付き添って行った経緯もあり、お父様から友人代表としてスピーチをお願いされました。

正直に言うと、ごっちんさんのことをもっと古くから知っていて、僕が知らないごっちんさんのことを知っている友人は他にたくさんいらっしゃることと思います。そんな中で僕が話をするのは恐れ多いのですが、せっかくなのでごっちんさんと僕の個人的な事についてお話させてください。

僕がごっちんさんと初めて話したのは確か2年前の8月、八丈島大森靖子さんのライブを見に行った時だったと思います。お互い積極的に人付き合いをするタイプではなかったので、すぐに仲良くなることはありませんでしたが、二人とも頻繁にライブに通っていたこともあり、元々性格が似ている部分はあったので、そのうち自然と気兼ねなく話せるようになりました。ごっちんさんは大森靖子さん以外にも幅広い音楽の知識やエピソードを持っていて、ごっちんさんと話をする時はいつも感心させられっぱなしでした。

そのうちごっちんさんが杖をついてライブを見に来るようになって、自分からは決してそのことについて話そうとしなかったので、僕もずっとごっちんさんの体のことはあまり詳しく知りませんでした。そして昨年11月から大森靖子さんの全国ツアーが始まり、ごっちんさんと僕は15公演全てに行こうとしていて、毎週のように全国各地を飛んで回っていました。そんなことをしていたのはごっちんさんと僕だけだったので、まるで同志のように思えて、今回のツアーでごっちんさんとは急速に距離が縮まったと思っています。

僕がごっちんさんの体調のことを聞いたのは昨年12月16日の宮城公演を見終わって二人で東京へ帰る新幹線の車中でした。そして今年に入って1月12、13日の松山・高知での公演にごっちんさんが姿を見せていなくて、心配になって連絡したら入院していることを教えてくれました。その翌日に僕は高知から飛行機で東京へ戻ったその足で病院へお見舞いに行きました。ごっちんさんは元々スリムな体型でしたが、入院前の昨年末に大森さんのファンクラブイベントで会った時と比べるとまた一段と痩せていました。でも病室のベッドの上から僕を見つめる優しい眼差しや飄々とした雰囲気は普段のごっちんさんと変わっていなくて安心したのを覚えています。そこで一週間後に控えていた大森さんの全国ツアーファイナルの中野サンプラザ公演だけは絶対に見に行ってほしいと思い、その後何度か病院へも足を運んで色々と打ち合わせや手配をしました。

ご家族、病院関係者、avexの関係者の皆さんがごっちんさんのためにあらゆる準備を整えてくれて、何よりごっちんさん自身がライブを見に行けるよう頑張って体調を整えていました。当日病院で会場までの移動に使う車椅子に乗る時に、ごっちんさんがベッドからすっくと立ち上がって自分の力で車椅子へ歩いて向かうその姿が、とても凛としていて格好良かったのが印象に残っています。そして、中野サンプラザで大森さんのライブを無事に見届けて病院まで戻ってきた頃には、疲れ切って車椅子の上で眠ってしまっていましたが、ごっちんさんの意志の強さと逞しい生命力に唯々感動していました。

ごっちんさんは体調のことも入院のことも他の人に心配をかけたくないからと気を遣って自分からは決して言いませんでした。でも僕はツアーの帰り道の新幹線で初めてごっちんさんの体調のことを知った時から、僕がごっちんさんにできることは全てやろうと思いました。だから、ごっちんさんが入院していることや、大森さんにリクエストするとしたらchu chuプリンをリクエストしたいと言っていたことを、大森さんに伝えました。そしたら大森さんはそれに応えて、1月19日に大事な中野サンプラザ公演の前日にも関わらず裏ツアーと称して病院へお見舞いに来てくれました。ごっちんさんが毎公演会場で買っていたグッズのギターピックを大森さんがプレゼントしたら「やったー!」と大げさに喜んでみせたり、大森さんと僕に気を回してお見舞いの品の高級ポッキーをお裾分けしてくれて、大森さんが不器用でその箱をうまく開けられないのを見て「そういうの今までよく見た」と言って優しく微笑んだりする様子を、僕は「やっぱりごっちんさん好きだな」と思いながら眺めていました。そして、大森さんは中野サンプラザのライブでごっちんさんに寄り添ってchu chuプリンを歌ってくれました。ごっちんさんも僕も、大森さんの単なるアーティストとファンという関係を超えて向き合ってくれるところが好きでしたが、最後の最後でまたその姿勢を徹底的に貫くところを見せてくれました。本当に大森靖子さんは僕たちのヒーローです。

僕はごっちんさんがこれからもずっと心の中で生き続けるのだろうなと思っています。ライブに行ったらいつものように「どうも、どうも」と言いながらごっちんさんがひょっこり現れるような気がしています。超一生大森靖子ヲタクとして、超生きて、また現場で笑って会いましょう。今までありがとうございました。さようなら。

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