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2016/11/04 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR HIROSHIMA● LIVE JUKE

ライブ 大森靖子

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」9日目の広島公演を見てきた。

広島公演は10月9日の大分公演以来となる弾語り公演で、今回のツアーにおける弾語りでのライブはこの日がラストとなる。広島公演の日は東京から始発の新幹線で尾道へ行き、夕方まで観光してからライブ会場であるLIVE JUKEへ向かった。

LIVE JUKEは、広島市中心部の平和大通り沿いに建つビルの19階にあるライブハウスで、この平和大通りではライブの日の翌日に25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした広島東洋カープの優勝パレードが行われた。開場時間の18時半頃にビルのエレベーターで上がって会場へ着くと、ロビーは入場を待つお客さんで一杯だった。

会場の中へ入ると、左手にバーカウンターがあり、右奥が天井から床まで一面ガラス張りの窓になっていて、その向こうに広島の夜景が広がっていた。その窓際にギターとグランドピアノがセッティングされていた。

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事前にインターネットで会場の写真を見て、椅子席は窓側に向かって整然と並んでいる様子を想像していたが、実際には中央に花道のような空間が設けられていて、それを囲むように椅子が並べられていた。秋田公演の時とやや似たレイアウトだが、この日の方が雑然とした並べ方で、向かい合うお客さん同士の距離がずっと近かった。

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ナナちゃんはその花道の床の上に置かれており、頭には大森さんのサイン入りのおもちゃ(?)が乗せられていた。そしてナナちゃんの下にはなぜか広島の「むさし」の地図が敷かれていて、大森さんの字で「あれ〜?ナナちゃんのイタズラで、今日はなんだかイスの配置が不思議だな〜ʕ*•ᴥ•ʔ✩」と書かれていた。そういった大森さんの遊び心を感じさせる演出もあり、事前に予想していたようなかしこまった雰囲気はなく、開演前の会場は和やかでリラックスしたムードに包まれていた。

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開演時間の19時半になり、バンド編成の時と同じSEが流れて大森さんが登場し、ライブがスタートした。

この日のセットリストは以下のとおり。

<ギター弾語り①>

TOKYO BLACK HOLE

マジックミラー

PINK

さっちゃんのセクシーカレー

あまい

ミッドナイト清純異性交遊

君と映画

さようなら

朝+

I & YOU & I & YOU & I

SHINPIN

hayatochiri

背中のジッパー

給食当番制反対

Over The Party

絶対彼女

デートはやめよう

あたし天使の堪忍袋

ノスタルジックJ-POP

 

<ピアノ弾語り①>

キラキラ

Wanderin' Destiny (globeカバー)

君に届くな(新曲)

HOWEVER (GLAYカバー)

謡曲

KITTY'S BLUES

青い部屋

オリオン座

 

<ギター弾語り②>

非国民的ヒーロー

魔法が使えないなら

少女漫画少年漫画

 

アンコール

<ギター弾語り③>

愛してる.com

呪いは水色

 

この日の大森さんは黒いワンピースに十字架のペンダント、花の刺繍が入った黒いショートブーツという装いだった。1曲目は“TOKYO BLACK HOLE”で、この日のギター弾語りは終始マイクを使わずに生声で歌い、ギターもアンプを通さずに生音で演奏していた。続いて“マジックミラー”“PINK”と歌ったが、この最初の3曲はツアー初日の秋田公演と同じだった。“PINK”を歌い終えると、大森さんは久しぶりとなる広島のファンに、しばらく会えない間にも独自のペースで生活を頑張ってくれて、今日その生活を持って来てくれてありがとうございますと言い、今日は独自の前方後円墳のような椅子席で、私が全部並べましたと話していた。

次の“さっちゃんのセクシーカレー”では、歌い始めてすぐに花道沿いに座っていたかなりさんを見て「髪型被ったね…被りを気にして皆がしない髪型をしたつもりだったのに…」と絡んでいた。続いて“あまい”、そして唯一ペンライトを使える曲ということで“ミッドナイト清純異性交遊”をフロアを移動しながら歌い、客席の間を通って後ろの方まで行っていた。

“ミッドナイト清純異性交遊”を歌い終えると、近くに座っていた広島の大森さんファンであるはまださんに話し掛け、はまださんの彼女の話などごく私的な会話をしばらくしてから、リクエストを聞いて“君と映画”を歌った。その後もバーカウンターの方へ移動し、お客さんと親しげに話をしながら“さようなら”や最新シングルの“POSITIVE STRESS”のカップリングである“朝+”を歌った。続いて“I & YOU & I & YOU & I”を歌ったところで「よし、意外と動線を作れていたぞ!楽しかった!」と言って中央の花道へ戻った。フロアを練り歩きながらリクエストを聞いて歌うのは今年の6月に行われた甲府の桜座での「ハミングバード爆レス歌謡祭」を思い出させたが、この日はその時よりもお客さん一人一人と時間をかけて会話を交わしていて、それによって会場全体がアットホームな雰囲気になった気がした。

花道で“SHINPIN”“hayatochiri”を歌ったところで、夜景が見える窓の方を見ながら「皆で地球から逃げ出した感がすごいので、そういう設定でいきます」と言って“背中のジッパー”を歌った。続いて“給食当番制反対”“Over The Party”を歌った後、大森さんが前方後円墳の円の先端に当たるところに座っていたまるおさんにピックをプレゼントするのが見えた(自分の席からは見えなかったが、ナナちゃんの頭の上に乗っていたおもちゃや下に敷いていた紙も近くのお客さんにプレゼントされたらしい。)。自分の席からはまるおさんの顔がよく見えたのだが、その時のまるおさんの何とも嬉しそうな表情が印象的だった。

次の“絶対彼女”ではいつもどおりに女の子とおっさんに分かれてサビを歌ったのだが、おっさんパートを聞いた大森さんが「今日美声じゃない!?どうした?なんで?」と驚き、もう一度おっさんにサビを歌わせると「あなただね!?」と花道沿いの最前に座っていた男性をロックオンした。男性の横に座っていたお客さんに「だよね!?」と確認して、男性に「ソロで!」と言ってソロで歌わせた。その歌声は確かに美声で、大森さんが「めっちゃいい…」と言っていた。

“絶対彼女”を歌い終えると、「今日は歌うのがいいんだね、オッケーオッケー」と言って、再度まるおさんをイジってから“デートはやめよう”を歌った。「変な柄のシャツ 目が痛くなるよ」のところでは、花道の最前のお客さんが着ていた意識高いTシャツに顔を近付けて目が痛くなる演技をしていた。「エロいことをしよう」のところでは、揚げもみじまんじゅうにアイスを付けて売っているお店があり、それが死ぬほどうまいという話をして、あったかい揚げもみじまんじゅうと冷たいアイスが溶ける接合部のエロさを想像しながら歌ってください、と言ってお客さんに歌わせたが今一つだったようで、「ちゃんと想像した?もみじまんじゅう感伝わらなかったよ」と言って、今度はもみじまんじゅうの振り付け(島田洋七さんのギャグのように手でもみじまんじゅうのシルエットを描く)をしながら歌おうと言って、全員でもみじまんじゅうの振り付けをしながら歌った。花道に立つ大森さんを囲んで、皆でもみじまんじゅうのシルエットを描きながら「エ〜ロい〜ことをしよう〜」と歌う光景はなかなかシュールだったが、とても面白かった。

次の“あたし天使の堪忍袋”でもお客さんが一緒になって歌ったところで、大森さんがピアノの椅子に腰掛けて足を組み、ギターを抱えて“ノスタルジックJ-POP”を歌った。「ここは君の本現場です」のところで、大森さんがピアノの真横の席に座っていたしなもんさんを見て大きく頷き、しなもんさんもそれに応えて大きく頷き返したところ、しなもんさんの隣に座っていたもりおさんがそれを見て笑い出してしまい、大森さんが演奏を止めて「隣が笑うのやめて、やりづらいから(笑)」と言った。仕切り直して再び「ここは君の本現場です」の歌詞から歌い始め、また大森さんとしなもんさんが頷き合うと、今度はしなもんさんの前に座っていたのわさんが笑ってしまい、大森さんが「お前も隣だよー(笑)」と言い、再度仕切り直しに。三度目は笑いが周りに広がってしまい、「広がらないで(笑)」と言って止まりかけたが、何とか続行して歌った。しかしそれで終わりではなく、歌の途中でもりおさんが泣いている(後で聞いたところでは、この曲を聴くと訳もなく泣いてしまうらしい)のを大森さんが見つけ、もりおさんの方も泣いているのを大森さんに見つかったことに気付いて慌てふためくリアクションをしたので、それでまた周りが笑っていた。

ここからはギターを置いてピアノの弾語りへ。“キラキラ”からスタートし、続いてglobeのカバーで“Wanderin’ Destiny”を歌った。この曲のマーク・パンサーのラップパートでは、お客さんに曲の途中で無茶振りをしてマイクを渡し、ラップをさせる一幕があった。歌い終えると大森さんがそのお客さんに笑顔で拍手を送っていて、それでそのお客さんは報われたようだった。そのままMCに入り、「今日会場見てディナーショー感出ると思ってたでしょ?ところがどっこい前方後円墳システムだったんだな(笑)」と言って、大森さんが愛媛県松山市出身で、広島とはスーパージェットという船で1時間半くらいだが、来週地元凱旋公演がありライブに来た人は誰でもカラオケに行けるので、ぜひそっちにも遊びに来てほしいという話をした。そしてiPhoneを取り出し、それを譜面台に置いて次の曲を始めた。「ゆらゆら」と「BABY BABY BABY BABY LOLI LOLI LONELY DOLL」という歌詞が特徴的な曲で、歌い終わった後にこれは“君に届くな”という新曲で、来月発売のシングルの3曲目にピアノ弾語りで収録されるものだと紹介された。この曲のピアノのソロはXファイルのテーマ曲と同じ音で、GLAYもそうだと言っておもむろに“HOWEVER”を歌い始め、そのまま続けて “歌謡曲”“KITTY’S BLUES”“青い部屋”を歌った。そして「合唱いくよー」と言って皆で歌詞のプリントを見ながら“オリオン座”を歌い、ピアノ弾語りは終了。

ここでMCに入り、まだ発売していない曲、しかもTOKYO BLACK HOLEツアーなのに全然関係ない曲の合唱に付き合ってくれてありがとうございます、今日もここに来てこんな感じだったら前方後円墳にしたいとか、あれやりたいとかこれやりたいとか思いついたことにずっと付き合ってきてくれている方とか、今日初めて来て「えっ?」って思った方も、誰もいないと出来ないのでずっとそういうのが出来ていて本当に嬉しく思う、私のライブは最初の頃は本当に誰もいなかったが、ちょっとうまくいっているかもと思った時に会場より客足の方が先に伸びた時も大体この位(顔のすぐ前に手を置く)でライブをやっていたけど、こういう大きさでできるのは気持ち良い、と話していた。

また“オリオン座”について、嫌なことがあった日も、何もうまくいかないという日も、もう死にたいという日も、月は見守ってくれている感じがあるが、オリオン座はただそこにある感じ、ふと見上げたらあぁあるなという感じで、それは冷ややかだったりするけど、自分にとってオリオン座というのはそういう星座で、歌もそういう風にありたいと思って、見守ったり突き放したりするのではなく、ただそこにある歌みたいなのがあってもいいんじゃないかと思って作ったという話をしていた。

そして、最新アルバムのTOKYO BLACK HOLEにも色んな曲が入っていて、違う気分の時に聴いたら違う風に聴こえるかもしれないので、それをTwitterのDMやリプライで「今日はこういう風に思いました」と送ってくれたら「そんな解釈があるんだ、じゃあそっちで」みたいな気持ちになるのでいっぱい送ってほしい、色んな気持ちの時にそばにいれたらいいなと思ってたくさん曲を作っているので、これからもよろしくお願いします、と言ってギター弾語りを再開し、“非国民的ヒーロー”“魔法が使えないなら”“少女漫画少年漫画”を歌って本編は終了。

アンコールで登場した大森さんは、TOKYO BLACK HOLEツアーは1時間半を目標にやっていて毎回2時間になってしまい、今日はglobeが長かったとマネージャーと反省したという話をしてから、今日嫌な事があった人?と質問し、2年付き合った彼氏に今日の朝メールでフラれたと答えた女性にやってほしい曲を聞いたところ、その女性は“愛してる.com”をリクエストした。会場全体が「え?フラれたのに愛してる.com?」となって大森さんもお客さんも爆笑していた。歌い終わった後、大森さんがその女性に「お陰でみんな色んな意味を…曲に含みができてよかった(笑)」と言っていた。そして最後に“呪いは水色”を歌ってこの日のライブは終了。

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この日のライブでは、向かい合って座っているお客さんの顔がよく見えたので、初めの数曲で既に顔をぐしゃぐしゃにして泣いている人、恋する乙女の表情で大森さんをじっと見つめている人、もはや大森さんの方を見ずに下を向いて泣いている人、ピックをもらって恍惚の表情を浮かべている人、ずっと顔色を変えずに聞いていたのにピアノ弾語りで思わず泣いてしまう人など、色んな表情が見えて、大森さんはいつもお客さんのこういう顔を見ながらライブをしているのだと思い、先日の札幌公演の時にそれを「面白くて最高」と言っていたが、その感覚を少し味わったような気がした。

また、この日は会場のロケーションや雰囲気も良かったし、お客さんのリクエストを含めセットリストも良かったし、大森さんの生音のギター弾語りと長めのピアノ弾語りも両方良かったし、お客さんとの絡みも内輪ノリ満載で面白かったし、とても居心地の良い楽しいライブだった。振り返ってみると今までの大森さんの弾語りで一番良いライブだったかもしれない。

ライブ終了後は大森さんファン十数名で反省会をし、二次会では焼売さん、もりおさん、まるおさん、しなもんさんと牡蠣料理を食べに行った。皆で今日の大森さんとの絡みを振り返ったりしてとても楽しかった。朝4時くらいにホテルへ戻って少し休み、10時頃にホテルをチェックアウトして広島東洋カープの優勝パレードを見てから広島駅へ行き、新幹線で東京へ戻った。

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大森さんがライブの翌日にブログを更新し、広島公演について書いていた(ブログでツアー公演について書くのは長崎・大分以来)のと、このライブで初披露された“君に届くな”の歌詞も含めた12月14日発売の「オリオン座/YABATAN伝説」の内部資料を公開していた。個人的にはMCで「ただそこにある歌」として作ったという“オリオン座”がどういう仕上がりになっているのか、今からとても楽しみにしている。

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