2016/10/15 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR SENDAI● MACANA

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」4日目の名古屋公演に続き、その翌日に行われた5日目の仙台公演を見てきた。

前日の名古屋と同様、この日も観光はせずに美味しいものだけ食べようと思い、お昼過ぎに家を出て仙台へは15時台に着く新幹線で向かった。新幹線の車内でiPhoneのケーブルを忘れてしまったことに気が付いたので、まずApple仙台一番町に寄った。この時に対応してくれた女性店員さんがやたらとフレンドリーで、今日は大森靖子さんのライブを見に来たという話をしたところ、その店員さんは丁度大森さんが最新シングルの楽曲を提供した°C-uteのファンだったらしく、大森さんの名前を知っていた(あれってセイコって読むんですか?ヤスコだと思っていました…と言っていたが)。その店員さんはaikoさんのファンでもあり、大阪のライブを遠征して見に行く位の「ガチ勢」だと自分で言っていて、この人に大森さんのライブを見せたらハマらないかな…今日チケット余らせている人いないかな…と思ったところで止めた。

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また、偶然にもこの日、AppleのCEOであるティム・クックがサプライズでこの店を訪問していたという話を聞いた。来店客とも気軽に写真を撮ったりしていたようで、そのまま大森さんの仙台公演を見てくれたら、その流れでApple製品のCM曲に採用されて一気に世界中で大ブレイク…というところまで妄想して止めた。

僕の接客をしてくれた店員さんも写っている。すごい。

ケーブルを購入し、店員さんが「ここは美味しい」と言っていた近くの牛タンのお店に行って遅めの昼食を食べてから、この日の会場であるMACANAへ向かった。

以前も一度載せたが再掲。

MACANAはキャパが200人か250人(サイトによって書いてある人数が違う)のライブハウスで、いずれにしても今回のツアーにおいてバンド編成でライブを行う会場としては最も小さいと思われる。恐らくそれもあってこの仙台公演のチケットは早々にソールドアウトしていた。僕は新宿LOFTで見る大森さんのバンド形態のライブがとても好きなので、この日もそんなライブハウスならではの熱量を感じられるライブになることを期待していた。

開場前の入場列を見ると知っている人はほとんどおらず、地元か東北のファンの人達が多いようだった。ようやくハイコーフェスの時に知り合った青森の大森さんファンの人やひでろーさんと会った時は何だかホッとした。この日のチケットは50番台で、入場後に中にあるロッカーに荷物を入れてフロアに降り、4列目の位置で開演を待った。フロアは地下に降りていったところにあるのだが、キレイで天井が高く、想像していた新宿LOFTのようなライブハウスというよりは渋谷WWWに近い雰囲気だった。

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バンド編成のライブでは開演前と終了後にBGMが流れているのだが、大森さん本人か大森さんをよく知る人によるチョイスと思われる曲ばかり流れるので、「あ、この曲はあの…!」といった感じで開演前から既に楽しい。名古屋公演は少し時間が押して始まったが、この日もやや開演時間を過ぎてからライブ開始。

ライブの演出内容については、セットリスト、LINE LIVEでも配信されていた秋田公演と同じ展開の“絶対彼女”、ライブ映像が公開された“オリオン座”以外は極力書かないようにしているが、気になる人はこれ以降読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

ミッドナイト清純異性交遊

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

さっちゃんのセクシーカレー

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

非国民的ヒーロー

Over The Party

キラキラ

KITTY’S BLUES

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

少女3号

マジックミラー

 

セットリストは前日と数曲を除いて同じで、この日も“ミッドナイト清純異性交遊”からスタートし、“超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS”まで続けて演奏したところで、大森さんが今日はライブハウスなのでライブハウスでいこうぜと気合いを入れてきたので、皆さんもライブハウスで来てください!と煽りのMCを入れてから“ピンクメトセラ”へ。

“ピンクメトセラ”を歌い終わって、大森さんが恒例の“絶対彼女”のソロパートを募集しようとしたところで最前列に目が止まり、「今日はお前だな(笑)柵くぐっておいで」と言ってステージに呼び寄せた。ステージに上がったのは小学校低学年くらいの小さな女の子で、親と一緒に最前で見ていたのを大森さんが見つけたようだった。ところが大森さんが流れを丁寧にレクチャーするものの女の子はとても不安げで、恐らく見ているお客さんの多くが「大丈夫かな…」とハラハラしたまま演奏がスタートした。演奏中も女の子が親の方を見て「無理…!」とでも言いたげに首を横に振ったりしていて、こんなに気が気じゃない心境で“絶対彼女”を聴くのは初めてだと思いながら、いよいよソロパートに入った。すると、女の子が恐る恐る口をマイクに近づけて、小さい声だがちゃんと歌い始めた。その瞬間、会場全体が安堵した雰囲気に包まれて、しかも女の子の歌声が可愛らしくて皆ときめいてしまい、その歌声にフロアからは大きな歓声が上がった。その後、いつも通りに女子とおっさんに分かれて歌ったのだが、その間も女の子はマイクを持ってずっと歌っていて、おっさんコールにも参加していた。最後に全員で歌うところでは、初めのオドオドした様子はすっかりなくなって堂々と歌っていて、わずか一曲の間に女の子がみるみる成長していくようだった。この女の子が間違いなくこの日のMVPだったと言っていいと思う。また、女の子が歌っている間の大森さんがとても嬉しそうにニコニコと笑っていて、こんな笑顔を見るのは生誕コピバン祭りで観客からハッピーバースデーの歌を送った時以来だと思った。正直ライブが始まる前までは、前日にライブを見たばかりで、バンドだとセットリストもそれほど変わらないだろうということもあり、自分自身心の底から楽しめるのかやや不安があったのだが、この曲で起こった小さな奇跡のようなものを見て、大森さんは全力で一回一回を特別なライブにしようとしていて、常にこちらの予想を超えるものを見せてくれようとしているのだと感じて、とても感動した。曲中に大森さんがナナちゃんを持って来て、女の子に話しかけたり女の子と戯れたりする仕草をナナちゃんにさせる一幕もあって、それもとても微笑ましいシーンだった。

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務めを終えてぐったりするナナちゃん(勝手なイメージ)

“さっちゃんのセクシーカレー”を歌う前には、前日の名古屋公演でも少し触れていた、曲のモデルになった女性についての話などをしていた。名古屋でツイートNGが出ていたので念のため今回も詳しく書くのは控えるが、名古屋の時よりも丁寧にそのモデルになった女性のことや当時の大森さん自身の状況などについて話していて、また、そのエピソードが2週間ほど前に見た月刊「根本宗子」『夢と希望の先』(BiSのプー・ルイさんが終盤の重要な場面で“さっちゃんのセクシーカレー”を歌う)の内容と重なるものがあり、そのMCの後に聴く“さっちゃんのセクシーカレー”はとても胸に迫るものがあった。

次の“オリオン座”は、ちょうどこのブログを書いている時にYouTubeでこの仙台公演のライブ映像が公開された。

映像だとあまり聞こえないが、イントロで大森さんが「プリント出してー」とささやき声で呼びかけていて、その仕草がいたずらっぽくて可愛かった。これは入場時に一人一枚ずつ“オリオン座”の歌詞がプリントされた紙を配られて、この曲の時にそれを見ながら聴くという演出で、前日の名古演公演から始まったものだった。名古屋では歌詞が配られたことで開演前からこの曲をやることは分かっていたのだが、それを弾語りでやるのかバンドの演奏でやるのか気になっていたところ、蓋を開けてみると演奏はカメダタクさんのキーボードのみで、他のバンドメンバー全員がコーラスをするという予想外の演出だった。大森さんが曲を書くときから意識していたのかは分からないが、大人数で歌うと学校の合唱曲のように聞こえるので、聴いていると懐かしい感覚を呼び起こされてジーンとする。映像には“絶対彼女”で大人達を感動させる頑張りを見せたあの女の子も映っていて、あの場にいた人達にとってはまた特別な映像になっているのも心憎い。 

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、最新アルバムのTOKYO BLACK HOLEには自分が描きたいと思った学校の風景などをきっかけにした曲が多いこと、大学の時は友達が全然いなくて声を発することもなく、声を発したいがために警備員の人に挨拶していたくらいで、あとはライブで叫んでバランスを取っていたこと、その時に神聖かまってちゃんをよく聴いていて、“学校に行きたくない”を学校に行きたくないと思いながら聴いていたことなどを話して、そんな神聖かまってちゃんのの子くんと作った新曲ということで“非国民的ヒーロー”を歌った。

“キラキラ”を歌い終わった後には大森さんのギターの師匠(名前を言っていなかったが、出さない方がいいかもしれないので書かないでおく)の話をしていて、その師匠がヤ◯マ◯を分かれば曲を書ける、ヤ◯マ◯のブルースは本物だ、と言っていたらしく、そんなヤ◯マ◯の歌ということで“KITTY’S BLUES”を歌った。

アンコール明けで、仙台は恐らく単独でバンド編成のライブをするのは初めてだということ、やっぱり雪の中で生き抜いているだけあってお客さんが元気だということを話してから、大森さんが“絶対彼女”を歌った女の子にナナちゃんピックをプレゼントした。すると女の子が大森さんに手紙を書いてきていたらしく封筒を手渡して、大森さんがそれをとても喜んでいたので、それでまた会場全体がほっこりした雰囲気になった。そしてこの日はメガネ率が高かったらしく、“TOKYO BLACK HOLE”の「はたらくおっさんでぼくの世界がキラキラ」の歌詞のように照明でメガネがめっちゃキラキラしていたと言って爆笑していた。最後に、今日を楽しみに仕事とかを頑張ってくれた方もいると思うが、私も今日皆さんに会えるのを本当に楽しみにしていて、またこれからも仙台にはたくさん遊びに来ます、今日はありがとうございました、出し切って帰りましょう、と締めくくって“少女3号”と“マジックミラー”を歌い、この日のライブは終了。

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ライブ終了後、まるさん、ひでろーさんと少し談笑してから会場を後にして、この日チケットを譲ってくれる人が見つかったということで急遽来ていたしなもんさんと終電の新幹線の車内で反省会をしながら東京へ帰った。東京に着いた後、そのまま勢いでしなもんさんと新宿歌舞伎町で行われていたChim↑Pom主催のイベント『また明日も観てくれるかな?~So see you again tomorrow, too? ~』を見に行き、たまたま来ていた肉野菜さんやひとみさんとも合流して結局朝まで一睡もせずに過ごした。

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先ほどの“オリオン座”のライブ映像に続いて、ちょうどこのブログを書いている時に10月28日に行われるこのChim↑Pom主催のイベントの2日目に大森さんが出演することが発表された。何だかここ最近そんな偶然が続くので、残りのツアーもまた色々と起こりそうで楽しみである。