2016/08/07 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016
前回のフジロックに続き、大森靖子さん目当てでロックインジャパンフェスティバルに行って来たのでそのレポートを書こうと思う。
前回同様、大森靖子さん以外のこともついでに書いているので、適宜読み飛ばしてほしい。
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016
ロックインジャパンフェスティバル(以下、ロッキン)は、もはや音楽ファンにとっては説明不要の豪華邦楽アーティストが多数出演する、日本最大級の野外音楽フェス。会場は茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園。2013年までは3日間の開催だったが、2014年以降は2週に渡り4日間での開催となっている。今年は8月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)での開催。ただ、主に洋楽のファンだった僕はフジロックとサマソニには10年近く通っている一方で、ロッキンには一度も参加したことがなかった。今回、大森靖子さんが2日目に当たる8月7日(日)に出演するということで、初めてロッキンに参加することにした。
会場へのシャトルバスが発着している勝田駅へは、電車だと特急「ひたち」で行くのが一番早く、1時間半ほどで行くことができるが、普通列車で行くと2時間半近くかかるが運賃が半分程度で済むことが分かり、早い時間帯にはそれほど見たいアーティストがいなかったので、今回は特急を使わずに行くことにした。8時半頃に自宅を出発し、11時過ぎに勝田駅に到着。
改札を出た所にあるコンビニはロッキン参加者を意識した品揃えになっていて、ここで必要最低限の飲食物だけ調達。ちなみにロッキンの会場はビン・カン類の持ち込みが禁止だったので注意が必要。
お土産や地酒、納豆なども売っていて、コンビニとは思えない品揃えだった。
シャトルバス乗り場へ向かうと当日券販売はないとの立て看板。前売券は数日前に売り切れが発表されていた。
駅前のロータリーをぐるっと回った所にシャトルバスの乗車券売り場がある。
大人1人往復770円の乗車券を購入し、またしばらく歩いてバス乗り場へ向かう。
この時間は既にピークを過ぎているのか、ほぼ並ばずに乗車でき、約20分で会場である国営ひたち海浜公園に到着。自宅からの所要時間は約3時間で、フジロックと同じくらいだった。
タイムテーブルによれば、9時前からDJが始まり、10時半や11時には各ステージの一組目のアクトが始まるので、最初から見たい場合はもう少し早く自宅を出発し、なおかつ上野からの特急で行けばよさそう。以下はこの日のタイムテーブル。
13時25分からのZAZEN BOYSまで特に見たいアーティストがいなかったので、しばらくの間、初めてのロッキン会場をぶらぶらと歩いて回った。バスの車内でも会場内でもそうだったが、この日のトリであるBUMP OF CHICKENのTシャツやタオルなどのグッズを身に付けている人を多く見かけた。
この日は雲がほとんどないピーカンの天気だったが、海が近いせいか常に風が吹いていて気持ち良く、夏フェスを開催するには最適なロケーションだと思った。通りがかったGRASS STAGEではゲスの極み乙女。がライブをしていて、後ろの方まで人がぎっちり入っていた。
会場を一通り回ったところで、この日の一組目のお目当てであるZAZEN BOYSを見にSOUND OF FORESTへ。
ZAZEN BOYS
SOUND OF FORESTは名前のとおり森を通り抜けた先にあり、ステージ自体はそれほど大きくない。フジロックでいうとフィールドオブヘブンのような雰囲気。しばらくしてメンバーがサウンドチェックに登場。すると向井秀徳がNUMBER GIRLの"ZEGEN VS UNDERCOVER"を歌い始め、一気にテンションが上がる。続いて"Honnoji"をひとしきり歌ったところで、サウンドチェック終了。
ライブ本編はHIMITSU GIRL'S TOP SECRET、泥沼、ポテトサラダ(泥沼とポテトサラダをミックスして一つの曲のようになっていた)、NUMBER GIRLのdelayed brain、WHISKEY & UNUBOREといったセットリストで、一週間前にap bank fesで見た時とはまた一味違っていてとても良いライブだった。
大森靖子
ZAZEN BOYS終わりで大森靖子さんが出演するBUZZ STAGEへ移動。BUZZ STAGEは会場の一番奥まったところにある、フジロックでいうとレッドマーキーのようなテントステージ。レッドマーキーと比べると縦幅が短いが、テントの外からもステージが良く見えるので、実際にライブを観ることのできる人数はかなり多そうだった。
前のアクトが終わってステージの方に行くとまだ最前が空いており、ほぼ中央の柵前に行くことができた。フジロックの時と比べるとステージとフロアの距離が近く、間近で転換の様子を見ることができた。この日ステージに最初に登場したのはナナちゃん。
そして畠山ケンジさん(Gt)、tatsuさん(Ba)、奥野真哉さん(Key)が登場し、サウンドチェックを開始。そして大森さんが一瞬現れ、マイクに向かって「エヴィバーディィィィーー!!!」と叫んで観客を煽り、すぐに捌ける。この後に見たDJピエール中野さんがヤバイTシャツ屋さんの"あつまれ!パーティービーポー"をかけているのを聴いて、もしかするとこの曲のエヴィバーディだったのかもしれないと思ったが、真相は不明。続いてピエール中野さん(Dr)、小森清貴さん(Gt)も登場し、サウンドチェックを始める。バンドメンバーはフジロックと同じ編成。
しばらくして大森さんが再び登場し、フジロックの時にもあった写真撮影タイムが開始。ステージの端まで来て色々なポーズをとっていた。
この後、こちらがカメラを構えているのを見つけると、ナナちゃんを前に差し出すポーズをしてくれた。
大森さんからナナちゃん私信頂きました pic.twitter.com/ePKsTvh3nU
— ナガイ (@bryter_layter) 2016年8月7日
写真撮影タイムが終わって少しした後、ギターを持った大森さんが「もう何でもいい感じですか?」とスタッフに確認し、「TOKYO BLACK HOLE」とポツリと言って"TOKYO BLACK HOLE"の演奏を開始。大森さんのスイッチが一気にライブモードに切り替わる。
"TOKYO BLACK HOLE"が終わると、また少しの間サウンド調整をする。大森さんがギターを置き、マイクを片手に持つと再びバンドが演奏を開始。フジロックのリハーサルでも披露していたBUMP OF CHICKENの"天体観測"のカバーである。大森さんの声はもはや歌というより咆哮に近く、ステージの前まで出てきて観客を煽るように熱唱し、歌い終えると観客からは大歓声が起こった。
これでリハーサルが終了し、メンバー全員が一旦捌ける。
そしてライブ本編がスタートし、まずは大森さんが一人で登場。手にはフジロックで掲げていた巨大な白い旗を持っていて、観客から歓声が沸き起こる。この白い旗はしばらく大森さんのライブにおいて一つのモチーフとなるのかもしれない。旗を台に置いて、大森さんのギター弾き語りからライブ開始。セットリストは以下のとおり。
(弾き語り)
PINK
(バンド)
マジックミラー
ピンクメトセラ
ミッドナイト清純異性交遊
絶対彼女
音楽を捨てよ、そして音楽へ
この日の大森さんはフジロックの時よりバーサク状態というか、終始会場全体を眼光鋭く見渡していて攻撃的な印象だった。最近大森さんは「斃す」(たおす)という表現をよく使っているが、正に観客を、フェスそのものを斃しにかかっているような迫力だった。
"ピンクメトセラ"はバンド形態のライブだと今回で恐らく4回目(前の3回はピエールフェス、hideフェス、フジロック)だと思うが、段々ライブの流れに馴染んできたように感じた。今回改めて見てとてもライブ映えする格好良い曲だと思った。曲の終盤では大森さんが猫になりきって観客に向かって威嚇するフリをしていた。
"絶対彼女"では女の子もおっさんも声がよく出ていて、大森さんがとても嬉しそうだった。観客を指差して「最高!最高!」を連呼していた。
フジロックの時は終始大森さんに目が釘付けになっていたので、今回は他のバンドメンバーにも目を配るようにしていたのだが、最後の"音楽を捨てよ、そして音楽へ"では気が付いたらずっと大森さんだけを見ていた。それだけ今の大森さんの歌う姿には目を引き付けるものがある。最後バンドメンバーを紹介した後に「音楽、お客さん!!!」と言ってマイクスタンドをステージ前ギリギリに持ってきて、マイクを観客の方へ伸ばしてフロアの声を拾うように左右に振り、それに観客が大歓声を送ってライブ終了。
Chara
Charaさんは金髪のハーフツインテールという髪型に淡い紫のスパンコールのミニドレスという衣装で登場。そして片手には小さなミラーボールをぶらさげていて、その佇まいだけで心を奪われてしまうような存在感だった。7人編成のバンドをバックに、やさしい気持ち、ミルク、Junior Sweet、YEN TOWN BANDのSwallowtail Butterfly ~あいのうた~といった超名曲揃いのセットリストを披露。Charaさんの暑さを忘れさせてくれるような透明感のある歌声に完全に心を掴まれ、終始泣きそうなくらい幸せを感じたライブだった。秋にはツアーを予定しているとのことで、ぜひまたじっくりライブを見てみたいと思った。
DJピエール中野
Charaさん終わりでDJピエール中野さんを見に再びBUZZ STAGEへ来ると、テントの外まであふれるくらいお客さんがいて既に大盛り上がりだった。
自分が到着した時にはRADWIMPSのおしゃかさまがかかっていて、それからELLEGARDENのジターバグ、ベビメタのメギツネ、ホルモンの爪爪爪、AKBのヘビーローテーション、ハイスタのSTAY GOLD、ヤバイTシャツ屋さんのパリピの曲(多分)と続き、みんな子供のように大はしゃぎして盛り上がっていてとても楽しかった。
ここで一旦曲が止まり、ピエール中野さんが以前ロッキンに出演した時の裏が椎名林檎さんだった(後で調べたところ2015年8月1日(土))というMCをした後、サプライズで大森靖子さんを呼び込む。大森さんは先ほどのライブの時とは違う衣装(私服かもしれない)に着替えていて、披露したのがこれまたサプライズで椎名林檎さんの"丸の内サディスティック"だった。
DJピエール中野さんで大森靖子さん登場、椎名林檎さんの丸の内サディスティック披露 pic.twitter.com/IVIFZ0OyQk
— ナガイ (@bryter_layter) 2016年8月7日
本家さながらステージを右に左に行ったり来たりして、観客と一緒に左右に手を振る仕草をしながら歌っていた。
終了後にピエール中野さんがツイートしていたが、これはピエール中野さんが大森さんに頼んで実現したものだったようだ。
大森靖子に椎名林檎の楽曲歌って欲しいと頼めるDJは自分だけだと思うし、実現して良かった。 #RIJF
— ピエール中野⚫️凛として時雨 (@Pinakano) 2016年8月7日
大森さんの「魔法が使えないなら死にたい」というアルバムのジャケットが椎名林檎さんの「勝訴ストリップ」のパクリだと言われて炎上した件などは、僕もまだ大森さんを知る前の出来事なので詳しいことは知らないが、今回大森さんが椎名林檎さんの曲を歌ったことが大森さんや関係者にとって何か前向きな意味があったのなら良かったと思う。
後から見返すと大森さんのライブ終了後のツイートがサプライズ登場のフラグになっていたことに気付く。
ROCK IN JAPAN'16
— 大森靖子⚫️おおもりせいこ (@oomoriseiko) 2016年8月7日
大森靖子ライブありがとうございました!
あともうちょい楽しむぞ? #RIJF pic.twitter.com/BMWdOUYqvZ
大森さんのカバーの後、ラストは関ジャニ∞のズッコケ男道で終了。
— ピエール中野⚫️凛として時雨 (@Pinakano) 2016年8月7日
野外の開放的な雰囲気もあり純粋に盛り上がれたという意味ではこの日一番楽しかった。
また、この日の翌日にアップされた大森さんの公式ブログで大森さんが自分の写真を使ってくれていて、とても嬉しかった。
BUMP OF CHICKEN
DJピエール中野さんが終わってすぐに、この日のトリであるBUMP OF CHICKENを見るためにGRASS STAGEへ移動。自分にとっては正に世代のバンドで、音源は死ぬほど繰り返し聴いていたものの、ライブは2012年のGOLD GLIDER TOURで会場は確か幕張メッセで見たのが最初で最後だと思う。今回バンプのライブが見れることに直前まであまり実感が湧いていなかったが、いざロッキン最大のステージであるGRASS STAGEを目の前にすると、にわかに期待が高まってきた。
日がほとんど沈んだ頃に入場のSE(The WhoのA Quick One, While He's Away)が流れ、観客の拍手に迎えられてメンバー4人が登場。ステージ横のスクリーンでメンバーの顔を見ると、さすがに昔と比べると少し年を取った印象だったが、雰囲気はほとんど変わらない気がした。
最近の曲はあまり追えていなかったので、セットリストは半分以上が聴いたことはあるが曲名がピンと来ないといった感じだったが、どれも素晴らしい歌と演奏だった。中盤の"車輪の唄"はバンプの中でも大好きな曲の一つで、まさかこの日のライブで聴けるとは夢にも思っていなかったので、言葉で言い表せないくらいの感動だった。ライブ中に藤原基央が「会いたかったぜひたちなか!」とか「今日は最高のライブを見に来たんだろ!?俺たちも混ぜてくれ!」といった煽りを入れていたのが痺れるくらい格好良かった。
あっという間に本編が終了し、アンコール待ちで観客による"supernova"のコーラスの大合唱が起こる。そしてTシャツ姿で再び現れた4人が演奏したのが"天体観測"で、最高のクライマックスとしか言いようがなかった。最後に藤原基央が「音楽というものに拍手をお願いします!」と言っていて、会場全体が拍手に包まれ、ライブ終了に合わせて花火が上がるのを見て、初めてのロッキンが終了した。
昨年末に初めてCOUNTDOWN JAPANに行った時にも感じたが、ロッキング・オン・ジャパンが企画制作するフェスは他のフェスと比べて実に細かい所まで配慮が行き届いた運営がされていて、終始快適に過ごすことができた。客層も僕が見た限りでは嫌な感じのいわゆる「ロキノン厨」はいなかったし、健全にライブを楽しんでいる人がほとんどだったように感じた。来年以降も機会があればぜひまた来てみたいと思った。