2016/10/29 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR SAPPORO● PENNEY LANE24

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」8日目の札幌公演を見てきた。

札幌公演の前日に大森さんはChim↑Pomの新作個展「また明日も観てくれるかな?~So see you again tomorrow, too? ~」で行われたオールナイトイベント『ART is in the pARTy』に弾語りで出演しており、そのイベントにはシークレットゲストとしてあの小室哲哉さんも出演してライブを行った。そのライブの模様はYouTubeで配信されており、札幌へ行くために朝4時起きの予定だったが小室さんのライブが終わる1時半まで起きて見てしまった。

朝は何とか予定どおりに起床して空港へ向かい、札幌行きの飛行機に乗った。この日はライブが終わった後もエンドレスな展開になる予感がしていたこともあり、札幌到着後は行列のできる味噌ラーメンを食べに行った以外はライブの開場時間までゆっくりと過ごした。

今回のツアーでは、弾語り公演は全て前売でソールドアウトしているものの、バンド編成の公演は今のところ仙台を除いて当日券が出ている。僕は今年の夏に、ピエールフェスから始まってフジロックap bank、ロッキン、ライジング、サマソニ、ワーハピ、ベイキャンプと様々なフェスに行って数多くのアーティストのライブを見てきたが、それを通じて今一番見るべきアーティストだと思ったのが大森さんだったので、まだまだ大森さんのことが知られておらず百人単位のライブハウスすら完売しないのは少し残念だと思っている。いつか「今では考えられないけど、TOKYO BLACK HOLEツアーの時はライブハウスのキャパでも完売していなくて、当日券も普通にあったよね」という会話をする日が来るといいなと思う。

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大森靖子ファン街中で4:44の写真撮りがち(これはさっぽろテレビ塔

会場であるPENNY LANE24へ着くと、既に会場横に大勢の人が整理番号順に列を作って待機していた。顔を見慣れた人達もたくさんいて、今回の遠征組の多さは九州以来だったと思う。札幌は10月とはいえ東京の真冬並みの寒さで、それにも関わらず意識高いTで待っている人もいて、これから始まるライブへの意識の高さを感じた。

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これ以降、ライブの内容についてなるべくネタバレにならないように書いているが、セットリストやMCなどの内容について触れているため、気になる方はこれ以降読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

PINK

ミッドナイト清純異性交遊

生kill the time 4 you、、♡

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

非国民的ヒーロー

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

さっちゃんのセクシーカレー

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

SHINPIN

呪いは水色

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

マジックミラー

 

これまでのツアーでは、大森さんは“ピンクメトセラ”の縷縷夢兎の衣装、新⚫zのメンバーはTOKYO BLACK HOLE Tで揃えていることが多かったが、今回は何人かが新しい衣装で登場した。後のMCでこの衣装は発注が遅れていてやっと届いたものだと言っていた。

この日も“PINK”からスタートし、“ミッドナイト清純異性交遊”ではお客さんが一気に前の方に押し寄せる盛り上がりだった。“生kill the time 4 you、、♡”が終わるとMCに入り、北海道に来るのはライジングサン以来で、その時はお客さんに来てもらうために鼻セレブを配ったが、今日は鼻セレブを配らなくてもこんなに人が来てくれて嬉しい、札幌の皆さんは寒い所なのにとても暖かく迎えてくれるので、その一人一人の熱量を丁寧に音にしていこうと思う、と言って“イミテーションガール”へ。

“非国民的ヒーロー”の後のMCでは、1年半前の洗脳ツアーの時に北海道へは弾語りで来ていて、私はよく弾語りが一番と言われるのだが、北海道だけは「何でバンドで来てくれなかったんですか!?」と言われて、それが嬉しかったので今日はバンドで来たと言うと、お客さんから大きな歓声と拍手が起こった。それに乗っかってピエール中野さんがドラムをドンドン鳴らすと、大森さんが「こういうのムカつくけど(笑)」と言い、中野さんが「なんでだよ!盛り上げてるんだよ!」と反論すると、また大森さんが「お客さんはそれぞれのテンポで盛り上がってるからそういうのされたくない」とふてくされた感じで言い返し、中野さんが「それを許容できるのが大森靖子じゃないの?」と上手い切り返しをすると、大森さんが「やんのかコラァ!」とキレる(演技をする)という掛け合いがあり、その間ずっとお客さんから笑いが起こっていた。

“ピンクメトセラ”の後のMCでは、今回のツアーで欠かさずしているDMの話をして、これは大森靖子の規模が大きくなってもこのペースでやっていきたいと言っていた。これまでのツアーでは目の前のお客さんに対してDMを送ってほしいと呼び掛けていたのが、この日はもう一歩踏み込んだ言い方をしていたのが印象的だった。そして大森さんがお客さんに「今日嫌なことあった人?」と質問し、何人かのお客さんから答えを聞いた後、風俗嬢の友達から「稼げない」と八つ当たりされるという女性を“絶対彼女”のソロパートに指名した。その女性にはナナちゃんピックがプレゼントされ、本番のソロパートではお客さんのケチャを浴びながら見事な歌声を披露していた。

“絶対彼女”を歌い終わった後、風俗嬢つながりで闇金ウシジマくんの作者(真鍋昌平さん)の漫画に「大森靖子」と刺青を彫った風俗嬢が出てきたことがあって嬉しかったという話をしていた。

そして、今回のツアーでライブを見た人がネタバレを気にしてツイートしないようにしてくれているが、感想が分からないので大丈夫かな…と思っていたが、今日皆の目がバターサンドみたいに優しくなっているのを見て大丈夫だと思ったと言っていた(この後ギターのあーちゃんさんがバターサンドのモノマネ(?)をしていて大森さんが一人で爆笑していた)。他にも色々と話が飛びまくっていて、以前に話していたことも多かったのでここでは割愛するが、最後にギターの畠山健嗣さんが「セトリが長いからと言ってスタジオで話し合って削ったあの時間はなんだったんだ…」と言うくらい長めだったMCを終え、“劇的JOY!ビフォーアフター”に入った。

“さっちゃんのセクシーカレー”に入る前のMCでは、今回のツアーで度々している、この曲のモデルになったライバルについての話をして、ライバルと思う人はあまりいないが、演歌歌手やオシャレな人、顔が面白い人はカッコいいと思う、私のライブに来る人は顔が面白くて最高だと思っていて、今は感受性を殺して楽に生きている人が多いが、皆はちゃんと一つ一つの出来事を顔で受け止めているからちょっとずつ歪んでいて、その歪みが美しいと思える、そうやって真っ当に傷ついた人間だけが得られる喜びをライブで作っていきたい、という話をしていた。ちなみに、“さっちゃんのセクシーカレー”のアレンジがこの日のライブから少し変わっていた。

“オリオン座”では、この日も入場時に配られた歌詞のプリントを見ながら観客も一緒になって合唱し、終わった後には所々で鼻をすする音が聞こえた。このライブの2日後に配信で行われたLINE LIVE(大森さんの弾語りとゲストの根本宗子さんの一人芝居を交互に行い、配信中にLINEの大森さんの公式アカウントからメッセージやスタンプが送られる演出もあってとても面白かった)の中で、この“オリオン座”が次回のシングルになることが発表された。次回のシングルは10月26日発売の“POSITIVE STRESS”のファンクラブ限定盤に収められている、“大森靖子弾語りDEMO集楽曲総選挙”の中の“オリオン座”“春の公園”“ARUKU”の3曲から投票によって選ばれることになっていたが、“オリオン座”が圧倒的な支持を得て選ばれた。個人的にもこの曲がデモのまま終わる未来は考えられなかったので、シングル化されることになってよかったと思う。

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、今日は1人でライブに来ている人もいると思うが、私は自分で見てきた景色や自分で選んで手に入れたCDや漫画とかで人格が作られていると思っていて、でもそれが共通する人があまりいなくて自分は「ジョーカー」っぽいと思って寂しかったけどその孤独は大事だと思っていること、自分の女の子に対する汚い愛情や、性別は2個や4個ではなく3億個位あってそれが日によって変わると思っている感覚が自分だけなのかなと思って寂しいと感じていたが、それが“さっちゃんのセクシーカレー”や“少女漫画少年漫画”という曲になっていること、最新アルバムのTOKYO BLACK HOLEでそういった昔のことを歌っているのは、東京に来てやっとそういうものが武器になったからだと気付いたことなどを話して、そのTOKYO BLACK HOLEから他のツアーではまだやっていない曲ということで“SHINPIN”を歌った。

アンコールのMCでは、北海道は大森さんのファンクラブの会員数が東京と大阪の次に多くとても楽しみにしていたのだが、本当に楽しかったと言ってお礼を述べてから、バンドメンバーを一人ずつ紹介して呼び込んだ。畠山さんは普段呼び込まれることがないとのことで歩き方がぎこちなくなってしまい、大森さんがピアノの発表会で緊張して手足が揃ってしまう男の子みたいだと言っていた。ベースのえらめぐみさんは、大森さんに隙があってエロい、エロめぐみだと言われていた。中野さんは滑り止めが付いていて叩きやすいというピンク色の五本指ソックスを足を上げて見せていた。バンドメンバーの紹介が終わると、大森さんがナナちゃんを連れて来て、「1、2、3、4、5、6、ナナー!今ヤれるアイドル!特技は処女膜再生ステッキを使って処女膜を再生することです!出身が札幌ということで、今日は凱旋ライブでーす!」と自己紹介をしてナナちゃんコールをした後、「お前もお前もお前もお前も…セッ◯スしてやろうか!」と聖飢魔Ⅱ風の盛り上げ方をしていた。最後に、皆の見ているこのバンドも自分でカッコいいと思っているが、それよりも自分が見ているこの景色の方が美しいと思っているので、ここに鏡を貼ってそれをそのまま音にして返したいという曲、ということで“マジックミラー”を歌ってこの日のライブは終了。

個人的にこの日のライブは畠山さんのギターがとても格好良いと思った。技術的なことは詳しくないので分からないのだが、出音が前回までよりも格段に良かった感じがした。その分あーちゃんさんのギターなどとの一体感は少し薄れたような気がしたが、個人的にこの日の畠山さんのギターは今までで一番痺れた。また、この日は全体的にもパフォーマンスが良くなっていた印象があり、特に本編最後の“音楽を捨てよ、そして音楽へ”では、大森さんが最前にいたしなもんさんの手を借りてフロアの柵へ飛び移り、観客に突っ込んでもみくちゃになっている姿も愛に溢れていたし、その時にステージで今までにない鬼気迫る演奏をしているバンドメンバーの姿も目を見張るものがあって、正に「眼球足んない」となる凄まじい光景が目の前で繰り広げられていて、見ていて思わず笑ってしまうほどだった。この日のライブを見た人の中には、今までの大森さんのライブで一番良かったと言っている人もいて、それも頷けるライブだったと思う。

また、MCで曲を削ったと言っていたが、キーボードのカメダタクさんがいた名古屋・仙台公演のセットリストと比較すると、大森さんのキーボード弾語りの“キラキラ”と“KITTY’S BLUES”、そしてアンコールの“少女3号”が削られていて、一方で“PINK”と“非国民的ヒーロー”(仙台公演では弾語りでやっていたが、その分“生kill the time 4 you、、♡”が削られていた)が追加されていたので、トータルでは1曲少なくなっていた。個人的には“少女3号”が削られたのが少し残念だったが、この札幌公演はそれを全く不満に感じさせないライブだった。

ライブ終了後、地元と遠征組の大森さんファン十数名で居酒屋に行って反省会をした。ファンクラブの会員数が東京、大阪に次いで多いというだけあって、大森さんへの愛に溢れた濃い人達ばかりで楽しかった。野暮なので詳しくは書かないが、特にカオスちゃんは最高だった。二次会ではジンギスカンを食べに行き、その後はまた居酒屋で朝まで過ごすという予想どおりのエンドレスな展開だった。解散後に一旦ホテルへ戻り、少し仮眠を取ってから新千歳空港へ向かい、飛行機で東京へ戻った。

北海道には今回食べられなかったグルメがまだたくさんあるし、地元の大森さんファンの皆さんにもお会いしたいので、ぜひまた訪れたいと思う(そしてカオスちゃんにはぜひまた盛大に奢ってほしいと思う)。

2016/10/23 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR FUKUOKA● BEAT STATION

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」6日目の岡山公演に続き、その翌日に行われた7日目の福岡公演を見てきた。

この日は自分と同じく岡山公演から福岡公演を回すかなりさんと午前10時過ぎに岡山駅で合流し、新幹線で博多駅へ向かった。博多では、アイドルのリリイベのイメージがあるキャナルシティ博多に行って、大森さんが2年前にライブをした場所で意識高いTを着て記念撮影をしたり、とんこつラーメンやスイーツを食べ歩いたりして過ごした。

youtu.be

そうこうしているうちに夕方近くになりライブの開場時間が近付いてきたので、会場であるBEAT STATIONへ向かった。開場時間である17時半の少し前に会場へ着くと、既に会場の建物を囲むように入場列ができていた。生誕コピバン祭以来にマツモトさんに会ったり、入場列に並びながらごっちんさん、ないろんさんとこれまでのツアーの話をしたりして開場を待った。

BEAT STATIONはキャパが400人と前日の岡山のCRAZYMAMA KINGDOMより小さいものの、天井が高く、ステージも高くてフロアとの距離がやや離れていたので、広々とした感じがあった。また、BEAT STATIONの建物は西鉄天神大牟田線西鉄福岡駅薬院駅を結ぶ高架下にあり、この日のライブ中もMCや弾語りの間に電車が上を通るとかすかにガタンゴトンという音が聞こえていた。この日は仙台公演の時と同じく開場から開演までの時間が30分と短めだったので、間もなく18時になってライブがスタートした。

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これ以降はセットリストを初めとしてツアーのネタバレになる内容が含まれているため、気になる方は読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

PINK

ミッドナイト清純異性交遊

生kill the time 4 you、、♡

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

非国民的ヒーロー

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

デートはやめよう

呪いは水色

さっちゃんのセクシーカレー

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

少女3号

マジックミラー

 

この日も前日の岡山公演に続いてキーボードのカメダタクさんが不在で、一曲目は同じく“PINK”からスタートした。“ミッドナイト清純異性交遊”“生kill the time 4 you、、♡”まで通してやってからMCに入り、福岡には弾語りでは来たことがあるがバンドでは初めてで、弾語りではジッと見る感じだけど今日は踊れる曲をたくさん持ってきたので盛り上がってほしい、と言って“イミテーションガール”へ。

“非国民的ヒーロー”の後のMCでは、大森さんが「今日初めて来た人?」と質問すると、まずまずの数の人が手を挙げた。前日の岡山公演でも、同じ質問をした時に結構手を挙げている人がいたので、地方にも大森さんのことを知ってライブを見てみたいという人が着実に増えているのだと思った。そして「私とネットで絡んだことがある人?」と質問したところ、先ほどより多くの人が手を挙げて、「めっちゃいる!私どんだけネットやってるんだ(笑)」と言って、今手を挙げたのはきっと「学校でギャルが体育祭の練習をしない」とかいつもクソどうでもいいことを送ってきて、私が「頑張ってね~」と返している人達で、そんな皆がきっとボッチで来ていてこの狭い空間でプライベートゾーンを保ちつつ乗っているというすごい光景を見ているけど、今日はお互い会えたことを嬉しく思っている、という話をした。

“ピンクメトセラ”が終わると再びMCに入り、大森さんがスペシャルゲストとして佐賀県有明海ゆるキャラである有明ガタゴロウ(ガタちゃん)をステージに呼び込んだ。登場したガタちゃんは体長がゆうに2mはあり、大森さんと並ぶととても大きく感じた。ガタちゃんは口の奥深くにマイクを突っ込んで喋るスタイルで、「今日は大森さんが九州に来るということで、おもてなししなきゃと思って佐賀から来たガタ~」と挨拶した。ガタちゃんが自分はアイドルの寺嶋由芙さん(ゆっふぃー)とコラボしているゆるキャラユニット“ゆるっふぃ〜ず”のメンバーで、大森さんはそのゆっふぃーに歌詞(“ふへへへへへへへ大作戦”)を提供したことがあるという関係性を説明して、今日はそのお礼に来たと言い、大森さんが「義理ガタいね~」と応えていた。大森さんがこの日の“絶対彼女”のソロパートはガタちゃんに歌ってもらうと言って、「ガタちゃんは男?女?」と聞くと、ガタちゃんは「56歳のおっさん」と答えていた。大森さんが「じゃあおっさんパートも歌ってね」と言って“絶対彼女”をスタートした。

ガタちゃんは“絶対彼女”のサビの振り付けをノリノリで踊っていたが、肝心のソロパートを歌う時に無理な発声(?)が祟ったのか途中で声が出なくなってしまい、お客さんが一緒に歌ってあげてフォローしていた。曲が終わった後にガタちゃんは「ごめんガタ~」とかなりヘコんでいたが、お客さんが「大丈夫!」「うまかったよ!」「お疲れ!」と温かい声を掛けていた。ガタちゃんが退場したところで、お客さんから「ナナちゃんは(出番ないの)?」と声が上がり、すると大森さんがナナちゃんを連れて来て、「福岡の皆さんこんばんは~!1,2,3,4,5,6、ナナ~!今ヤれるアイドル、処女膜再生ステッキを持ったナナで~す!趣味はバンドのメンバー全員とヤってバンドをクラッシュさせることで~す!クラッシュさせたバンドは星の数~!最近はアイドルを解散させることにもハマってま~す!」と完璧な自己紹介を披露した。この件は全く予定になかったと思うので、ナナちゃん(?)のアドリブ力の高さに感心した。 

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、オススメされた漫画が合わなかった時の絶望が地味に残って心の穴になっているのを曲にできないかと思っていて、東京暮らしに慣れてから作ったアルバムであるTOKYO BLACK HOLEにはそういった学生時代の風景が多いこと、私の歌に「トイレ」という歌詞が多いと分析している人がいたが、便所飯という言葉がない時代に、高校で女子のハブルーレットをするのもされるのも嫌で、窓からの景色が良くて気に入っていたトイレの一番奥の個室に篭ってお弁当を食べていたことなどを話していた。また、大森さんの衣装も数多く手掛けている縷縷夢兎(るるむう)の東佳苗さんが福岡出身ということで、佳苗ちゃんと会う前は全身真っ黒の服装をしていてダサいと言われていたが、佳苗ちゃんと会ってから好きな服を着ようと思って着たら何も言われなくなったので、好きな服を着ていいんだと気付いたこと、佳苗ちゃんは中学から高校に上がる時に制服が可愛い学校にしたいがために3つランクを落としたり、中学の時にバレンタインで好きな塾の先生にネクタイをプレゼントしたりしていてオシャレだと思ったことなど、東さんに関するエピソードを話して、だから福岡の人はオシャレだというイメージがあって今日はオシャレな人に制圧されている感じがするけど縷縷夢兎の衣装だから何とか大丈夫かな、と言っていた。

アンコール明けのMCでは、福岡に初めて来た時はUTERO(ユーテロ)という真っ赤なライブハウスでライブをして、赤いな…!と思いながら“PINK”を歌ったら赤に負けてしまったので私の福岡での音楽人生は終わったと思ったけど、その時に来ていた人が今日も来てくれていて嬉しいし、新しい人が来てくれたのも嬉しくて、終わらせないで無理やり続けてよかったと思ったこと、私の見ているこの風景の方が私のライブよりも表現が豊かで素敵だと思っていて、それをそのまま映し出す音楽を作りたいと思って“マジックミラー”を書いたこと、福岡はガヤが少ないのでシャイな人が多いみたいだけど、私とネットでやり取りしたことがある人が今までで一番多かったのでネット弁慶が多いのだと思うが、“少女漫画少年漫画”に出てくる「ジョーカー」は「とても強くて」最強で、孤独は最強の武器だし、それを武器に進んでいける人達が今日は集まっているとライブをしていて感じたので、明日からもその強さを武器に頑張っていきましょう、と締めくくって“少女3号”と“マジックミラー”を歌い、この日のライブは終了。

この日のライブを見ながら考えていたのは、これまで本やブログ、ライブのMCなどを通じて、大森さんの覚悟のようなものはある程度理解していたつもりだったが、前日の岡山での反省会でまるおさんから洗脳ツアーでの大森さんの話を聞いて、大森さんはきっと自分の想像以上に色々なことを乗り越えて今このステージに立っていて、また自分には計り知れないほどの考えや思いを持って歌を届けようとしているのだろうということだった。大森さんはこの日の最後のMCでの“マジックミラー”の件でも、今日のライブが面白くないと思ったらそれは皆のせい、と冗談めかして言っていたが、前日の岡山公演はまさにお客さんの熱気がライブを作っていたと思うし、この日は僕自身先ほどのようなことを考えながら見ていて、照明を浴びて歌う大森さんがいつもより輝いて見えるような気がして胸が熱くなる瞬間が何度もあった。

ライブ終了後、あぁちゅさん(先日の長崎公演で大森さんと“I&YOU&I&YOU&I”を一緒に歌い、その翌日の大分公演の反省会で大森さんファンを次々と虜にした小倉のアイドル)に遭遇し、厚かましくも一緒に写真を撮ってもらったりした。あとは少しだけ他の人達と話をしてから会場を後にして福岡空港へ向かい、羽田行きの飛行機に乗って東京へ帰った。

7日目の福岡公演を終えてツアーは折り返したことになるが、前半は終わってみればあっという間で、毎回がとても印象深いものになった。後半も、かねがね会ってみたいと思っていた地方の大森さんファンの人と会うチャンスがあったり、こんなところでライブやるの…?と気になる会場があったり、このブログを書いている週に開催された実験室では、松山公演の後に大森さんとカラオケに行く企画が発表されたりと、色々と楽しみである。

2016/10/22 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR OKAYAMA● CRAZYMAMA KINGDOM

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」6日目の岡山公演と、その翌日に行われた7日目の福岡公演を見てきた。

岡山公演と福岡公演はバンド編成での公演だったが、8月に大森さんのLINE BLOGで新⚫️z(しんぶらっくほーるず)のメンバーが発表された時にアナウンスされていたとおり、この二日間はキーボードのカメダタクさんが不在だった。個人的には、それによって大森さんと新⚫️zが両公演の内容をどう変えてくるかが楽しみの一つだった。 

岡山公演の日は、昼過ぎの新幹線に乗って16時頃に岡山駅へ到着した。駅前のホテルにチェックインして荷物を置いてから、会場であるCRAZYMAMA KINGDOMへ歩いて向かった。会場が入っているビルに着くと、まるおさん、もりおさん、ろぼさん、みちさんと会った。ろぼさんはこの日が誕生日だったので、ライブが終わった後にでも何かお祝いをしたかったのだが、結局出来ず終いだった。警備員から入場の待機はビルの裏手にある公園でするようにとの指示があったので行くと、おおたけおさん、ないろんさん、かなりさんと遭遇した。全員整理番号が近かったので、入場列に並びながら色々と話をした。これまでライブやフェスには基本的に一人で行っていたので、大森さん現場ではこうして地方に遠征した時でも気軽に話せる知り合いがいてとても貴重だしありがたいと思う。

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この日のチケットの整理番号は30番台で、会場がやや大きかったのと開場時間に間に合わなかった人が多かったのか、余裕で2列目に行くことができた。CRAZYMAMA KINGDOMはキャパが650〜700人とまずまずの大きさだったが、天井がそこまで高くなく、ステージも低くてフロアとの距離が近かったので、2列目からだとステージがとても近くに感じ、小さなライブハウスにいるような感覚だった。隣合ったおおたけおさんとツアーの振り返りをしたりマニアックな津山観光の話を聞いたりしながら開演を待ち、18時になってライブがスタートした。

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これ以降はセットリストを初めとしてツアーのネタバレになる内容が含まれている可能性があるため、気になる方は読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

PINK

ミッドナイト清純異性交遊

生kill the time 4 you、、♡

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

非国民的ヒーロー

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

オリオン座

給食当番制反対

Over The Party

魔法が使えないなら

呪いは水色

デートはやめよう

少女漫画少年漫画

さっちゃんのセクシーカレー

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

少女3号

マジックミラー

 

この日の大森さんは一部編み込みをしたツインテールで、観客から「かわいい!」と声が上がっていた。これまでのバンド編成のライブでは、スタートは常に“ミッドナイト清純異性交遊”だったが、この日は“PINK”に変えてきた。2曲目が“ミッドナイト清純異性交遊”で、個人的な体感としては観客の歓声やオイオイコールがこれまでのツアーの中で一番大きく、大森さんもそれに触発されたのかケチャパートではフロアの方に身を乗り出して歌っていた。それでまた観客も前の方に押し寄せたりして、序盤からすごい熱気の盛り上がりだった。そのままの盛り上がりで次の“生kill the time 4 you、、♡”を歌い、歌い終わった後に大森さんがハイテンションで「心を揺らしていこう心を!あ、不謹慎(笑)」(※前日に鳥取で最大震度6弱地震があった)と言ったそばから、再度「心を揺らしてこうぜぇえ!!」と叫んで会場を煽り、観客も大きな歓声でそれに応えた。その後の“イミテーションガール”“私は面白い絶対面白い多分”“非国民ヒーロー”もこれまでにない盛り上がりを見せていた。 

その後のMCで大森さんが「今日いやなことあった人?」と質問し、観客の何人かの答えを聞いてから、ファッションのコンテストに落選したという女性を“絶対彼女”のソロパートに指名した。ソロパートは予定どおりその女性が歌ったのだが、その後のおっさんパートの時に女性の近くにいた男性がマイクを奪って(?)歌い始め、大森さん達も観客もビックリするという場面があった。この日のライブでは他にも曲中に独自の合いの手を入れている人や奇声(?)を発している人などもいて、岡山の人はCRAZYだ…と思った(褒めている)。 

“絶対彼女”の後のMCでは、大森さんは愛媛県出身なので、岡山はいつも新幹線の乗換で30分位滞在していたところだったが、ライブでは弾語りで一回来ただけで、バンド編成で来たのは初めてだと言っていた。観客の熱気のせいか会場が白く曇っていることに気が付いて、皆が見えないけど顔が崩れているからちょうどいいか、とか、まだ8曲だからあと…600曲?といった感じで、この日の大森さんは冗談が多めで、それに観客もいちいち反応して盛り上がっていた。バンドメンバーもテンションが上がっていたのか、ピエール中野さんがスネアドラムをドンドンドンドンと鳴らして煽ると、大森さんが「そのバンドがよくやるやつやめてよ(笑)」とツッコミを入れ、すると畠山さん達も乗っかってギターを掻き鳴らしたりして、大森さんが「皆が私をいじめる…私のライブなのに…」と拗ねていた。その後に中野さんが大森さんに「馴れてないだろこういうの、俺もやったことないけど(笑)」と言ったりしていて、バンドっぽい和気あいあいとしたMCが繰り広げられていた。

その後に大森さんが、私は皆さんの生活が好きで、それと対峙したくてメジャーに行って、ここまで歌いに来ているので、何でもTwitterのDMで送ってくださいという話をしていた。大森さんは今回のツアーのMCで、大部分は毎回内容を変えて話しているが、いくつか決まって話していることがあり、このDMを送ってほしいという話はその一つで、大森さんはこのツアーにおいて普段会えない全国の人達にそれらのメッセージを直接伝えることを一つの目的にしているのだと思っている。ちなみに、アンコールが終わった一番最後にも大森さんは生声で叫んで観客に向かってメッセージを送っているのだが、それは実際に会場に足を運んでライブを見た人が受け取るべき言葉だと思っているので、あえてこのブログには書かないようにしている。

また、ステージのセット(今年の八丈島の“大森靖子の夏休み”で増田ぴろよさんが製作した巨大な円形のパッチワーク)がパンツとブラジャーでできているような生活感のある私は、キラキラしたジャ〇ーズやA〇Bのようなアイドルみたいに日々のことを忘れて楽しむというよりは、死線ギリギリにいる人をちょっとだけ遠ざけられたらいいと思っている、そのちょっとの対価が5,000円(この日のライブのチケット代)で、その5,000円分頑張ろうと思うので、皆も生きる力を持って帰ってほしい、という話をして長めのMCを終え、“劇的JOY!ビフォーアフター”へ。 

“劇的JOY!ビフォーアフター”の次の“愛してる.com”では、大森さんが下手側の最前列にいたお客さんが持っていたウサギのパペットを借りて、それを手にはめて歌うという一幕があった。途中からナナちゃんも連れて来て、右手にウサギ、左手にナナちゃんを持って、お互いを戯れるように遊ばせたり、相撲の張り手みたいに交互に前に出したりしながら歌っていて、大森さん自身がとても楽しそうだったのが印象的だった。

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「うさぎのほうがナナよりにんきだった…」と落ち込むナナちゃん(勝手なイメージ)

 “オリオン座”では、大森さんが「合唱の時間で~す、男子ちゃんと歌ってくださ~い」と言って、観客が入場時に配られた“オリオン座”の歌詞のプリントを取り出す。この時にプリントが一斉にガサガサする感じも、学校の教室の空気を思い出させて不思議な気分になる。この日はカメダさんが不在でキーボードがなかったため、伴奏は大森さんのギターだった。ちょうどこの日の前日にYouTubeでライブ映像が公開された仙台公演では、最後の方に大森さんがフロアの方へマイクを向けたものの、歌った方がいいのか歌わない方がいいのかあやふやな感じのまま終わってしまっていたが、この岡山公演では観客が始めから終わりまでしっかりと歌っていた。歌の後半に差し掛かると、2列目から見る限りでも最前列や左右に涙を拭っている人が何人もいて、会場全体ではかなりの数の人が泣いていたのかもしれない。それを見て、盛り上がる時は盛り上がり、泣く時は泣く岡山の人達はアツいな…と思った。

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、皆が学校や職場、家庭で大森靖子をおすすめして人格否定されているのを見ていつも申し訳なく思っていること、私は「ジョーカー」かもしれないが「とても強い」と信じて一人でやってきたこと、3年位はお客さんが対バン相手だけだったこともあったが、自分は才能があると信じていた、自分は才能があると思い込む才能があったこと、まずは一人で始めてみる、一人は武器だということを話して、一人で弾語りを始めた時のライバルの歌ということで“さっちゃんのセクシーカレー”を歌った。

アンコールでは、大森さんはTOKYO PINK HOLE Tを着て登場した(Tシャツが皺くちゃだったのでヘコんでいた)。そして唐突に大森さんの1歳になった息子の㌧さんが一番笑うという、岩崎宏美のモノマネをするコロッケのモノマネを解禁すると言って、全力の顔モノマネを披露した。その顔はもはや描写不可能の面白さだったが、観客から爆笑と拍手が巻き起こっていた。大森さんが最後にこれだけ体を張ったのは、この日のライブがそれだけ盛り上がったという何よりの証だと思った。そしてこのモノマネは顔の筋肉を使うのでほうれい線にいいらしく、女子はやった方がいいと言っていて、そうやって努力をしてずっと少女の気持ちを持っていようという“少女3号”と“マジックミラー”を歌ってこの日のライブは終了。

ライブ終了後、まるおさん、ないろんさん、かなりさん、岡山在住のりっとぅんさんと反省会に行った(ないろんさんはその日のうちに福岡に移動する予定だったため、ほとんど話す時間が無かった)。お店の閉店時間まで色々な話をしたが、特にまるおさんから聞いた昨年の洗脳ツアーでの大森さんについての話が強く印象に残った。

2016/10/15 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR SENDAI● MACANA

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」4日目の名古屋公演に続き、その翌日に行われた5日目の仙台公演を見てきた。

前日の名古屋と同様、この日も観光はせずに美味しいものだけ食べようと思い、お昼過ぎに家を出て仙台へは15時台に着く新幹線で向かった。新幹線の車内でiPhoneのケーブルを忘れてしまったことに気が付いたので、まずApple仙台一番町に寄った。この時に対応してくれた女性店員さんがやたらとフレンドリーで、今日は大森靖子さんのライブを見に来たという話をしたところ、その店員さんは丁度大森さんが最新シングルの楽曲を提供した°C-uteのファンだったらしく、大森さんの名前を知っていた(あれってセイコって読むんですか?ヤスコだと思っていました…と言っていたが)。その店員さんはaikoさんのファンでもあり、大阪のライブを遠征して見に行く位の「ガチ勢」だと自分で言っていて、この人に大森さんのライブを見せたらハマらないかな…今日チケット余らせている人いないかな…と思ったところで止めた。

www.youtube.com

また、偶然にもこの日、AppleのCEOであるティム・クックがサプライズでこの店を訪問していたという話を聞いた。来店客とも気軽に写真を撮ったりしていたようで、そのまま大森さんの仙台公演を見てくれたら、その流れでApple製品のCM曲に採用されて一気に世界中で大ブレイク…というところまで妄想して止めた。

僕の接客をしてくれた店員さんも写っている。すごい。

ケーブルを購入し、店員さんが「ここは美味しい」と言っていた近くの牛タンのお店に行って遅めの昼食を食べてから、この日の会場であるMACANAへ向かった。

以前も一度載せたが再掲。

MACANAはキャパが200人か250人(サイトによって書いてある人数が違う)のライブハウスで、いずれにしても今回のツアーにおいてバンド編成でライブを行う会場としては最も小さいと思われる。恐らくそれもあってこの仙台公演のチケットは早々にソールドアウトしていた。僕は新宿LOFTで見る大森さんのバンド形態のライブがとても好きなので、この日もそんなライブハウスならではの熱量を感じられるライブになることを期待していた。

開場前の入場列を見ると知っている人はほとんどおらず、地元か東北のファンの人達が多いようだった。ようやくハイコーフェスの時に知り合った青森の大森さんファンの人やひでろーさんと会った時は何だかホッとした。この日のチケットは50番台で、入場後に中にあるロッカーに荷物を入れてフロアに降り、4列目の位置で開演を待った。フロアは地下に降りていったところにあるのだが、キレイで天井が高く、想像していた新宿LOFTのようなライブハウスというよりは渋谷WWWに近い雰囲気だった。

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バンド編成のライブでは開演前と終了後にBGMが流れているのだが、大森さん本人か大森さんをよく知る人によるチョイスと思われる曲ばかり流れるので、「あ、この曲はあの…!」といった感じで開演前から既に楽しい。名古屋公演は少し時間が押して始まったが、この日もやや開演時間を過ぎてからライブ開始。

ライブの演出内容については、セットリスト、LINE LIVEでも配信されていた秋田公演と同じ展開の“絶対彼女”、ライブ映像が公開された“オリオン座”以外は極力書かないようにしているが、気になる人はこれ以降読まないことをおすすめする。

この日のセットリストは以下のとおり。

ミッドナイト清純異性交遊

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

さっちゃんのセクシーカレー

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

非国民的ヒーロー

Over The Party

キラキラ

KITTY’S BLUES

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

少女3号

マジックミラー

 

セットリストは前日と数曲を除いて同じで、この日も“ミッドナイト清純異性交遊”からスタートし、“超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS”まで続けて演奏したところで、大森さんが今日はライブハウスなのでライブハウスでいこうぜと気合いを入れてきたので、皆さんもライブハウスで来てください!と煽りのMCを入れてから“ピンクメトセラ”へ。

“ピンクメトセラ”を歌い終わって、大森さんが恒例の“絶対彼女”のソロパートを募集しようとしたところで最前列に目が止まり、「今日はお前だな(笑)柵くぐっておいで」と言ってステージに呼び寄せた。ステージに上がったのは小学校低学年くらいの小さな女の子で、親と一緒に最前で見ていたのを大森さんが見つけたようだった。ところが大森さんが流れを丁寧にレクチャーするものの女の子はとても不安げで、恐らく見ているお客さんの多くが「大丈夫かな…」とハラハラしたまま演奏がスタートした。演奏中も女の子が親の方を見て「無理…!」とでも言いたげに首を横に振ったりしていて、こんなに気が気じゃない心境で“絶対彼女”を聴くのは初めてだと思いながら、いよいよソロパートに入った。すると、女の子が恐る恐る口をマイクに近づけて、小さい声だがちゃんと歌い始めた。その瞬間、会場全体が安堵した雰囲気に包まれて、しかも女の子の歌声が可愛らしくて皆ときめいてしまい、その歌声にフロアからは大きな歓声が上がった。その後、いつも通りに女子とおっさんに分かれて歌ったのだが、その間も女の子はマイクを持ってずっと歌っていて、おっさんコールにも参加していた。最後に全員で歌うところでは、初めのオドオドした様子はすっかりなくなって堂々と歌っていて、わずか一曲の間に女の子がみるみる成長していくようだった。この女の子が間違いなくこの日のMVPだったと言っていいと思う。また、女の子が歌っている間の大森さんがとても嬉しそうにニコニコと笑っていて、こんな笑顔を見るのは生誕コピバン祭りで観客からハッピーバースデーの歌を送った時以来だと思った。正直ライブが始まる前までは、前日にライブを見たばかりで、バンドだとセットリストもそれほど変わらないだろうということもあり、自分自身心の底から楽しめるのかやや不安があったのだが、この曲で起こった小さな奇跡のようなものを見て、大森さんは全力で一回一回を特別なライブにしようとしていて、常にこちらの予想を超えるものを見せてくれようとしているのだと感じて、とても感動した。曲中に大森さんがナナちゃんを持って来て、女の子に話しかけたり女の子と戯れたりする仕草をナナちゃんにさせる一幕もあって、それもとても微笑ましいシーンだった。

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務めを終えてぐったりするナナちゃん(勝手なイメージ)

“さっちゃんのセクシーカレー”を歌う前には、前日の名古屋公演でも少し触れていた、曲のモデルになった女性についての話などをしていた。名古屋でツイートNGが出ていたので念のため今回も詳しく書くのは控えるが、名古屋の時よりも丁寧にそのモデルになった女性のことや当時の大森さん自身の状況などについて話していて、また、そのエピソードが2週間ほど前に見た月刊「根本宗子」『夢と希望の先』(BiSのプー・ルイさんが終盤の重要な場面で“さっちゃんのセクシーカレー”を歌う)の内容と重なるものがあり、そのMCの後に聴く“さっちゃんのセクシーカレー”はとても胸に迫るものがあった。

次の“オリオン座”は、ちょうどこのブログを書いている時にYouTubeでこの仙台公演のライブ映像が公開された。

映像だとあまり聞こえないが、イントロで大森さんが「プリント出してー」とささやき声で呼びかけていて、その仕草がいたずらっぽくて可愛かった。これは入場時に一人一枚ずつ“オリオン座”の歌詞がプリントされた紙を配られて、この曲の時にそれを見ながら聴くという演出で、前日の名古演公演から始まったものだった。名古屋では歌詞が配られたことで開演前からこの曲をやることは分かっていたのだが、それを弾語りでやるのかバンドの演奏でやるのか気になっていたところ、蓋を開けてみると演奏はカメダタクさんのキーボードのみで、他のバンドメンバー全員がコーラスをするという予想外の演出だった。大森さんが曲を書くときから意識していたのかは分からないが、大人数で歌うと学校の合唱曲のように聞こえるので、聴いていると懐かしい感覚を呼び起こされてジーンとする。映像には“絶対彼女”で大人達を感動させる頑張りを見せたあの女の子も映っていて、あの場にいた人達にとってはまた特別な映像になっているのも心憎い。 

“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、最新アルバムのTOKYO BLACK HOLEには自分が描きたいと思った学校の風景などをきっかけにした曲が多いこと、大学の時は友達が全然いなくて声を発することもなく、声を発したいがために警備員の人に挨拶していたくらいで、あとはライブで叫んでバランスを取っていたこと、その時に神聖かまってちゃんをよく聴いていて、“学校に行きたくない”を学校に行きたくないと思いながら聴いていたことなどを話して、そんな神聖かまってちゃんのの子くんと作った新曲ということで“非国民的ヒーロー”を歌った。

“キラキラ”を歌い終わった後には大森さんのギターの師匠(名前を言っていなかったが、出さない方がいいかもしれないので書かないでおく)の話をしていて、その師匠がヤ◯マ◯を分かれば曲を書ける、ヤ◯マ◯のブルースは本物だ、と言っていたらしく、そんなヤ◯マ◯の歌ということで“KITTY’S BLUES”を歌った。

アンコール明けで、仙台は恐らく単独でバンド編成のライブをするのは初めてだということ、やっぱり雪の中で生き抜いているだけあってお客さんが元気だということを話してから、大森さんが“絶対彼女”を歌った女の子にナナちゃんピックをプレゼントした。すると女の子が大森さんに手紙を書いてきていたらしく封筒を手渡して、大森さんがそれをとても喜んでいたので、それでまた会場全体がほっこりした雰囲気になった。そしてこの日はメガネ率が高かったらしく、“TOKYO BLACK HOLE”の「はたらくおっさんでぼくの世界がキラキラ」の歌詞のように照明でメガネがめっちゃキラキラしていたと言って爆笑していた。最後に、今日を楽しみに仕事とかを頑張ってくれた方もいると思うが、私も今日皆さんに会えるのを本当に楽しみにしていて、またこれからも仙台にはたくさん遊びに来ます、今日はありがとうございました、出し切って帰りましょう、と締めくくって“少女3号”と“マジックミラー”を歌い、この日のライブは終了。

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ライブ終了後、まるさん、ひでろーさんと少し談笑してから会場を後にして、この日チケットを譲ってくれる人が見つかったということで急遽来ていたしなもんさんと終電の新幹線の車内で反省会をしながら東京へ帰った。東京に着いた後、そのまま勢いでしなもんさんと新宿歌舞伎町で行われていたChim↑Pom主催のイベント『また明日も観てくれるかな?~So see you again tomorrow, too? ~』を見に行き、たまたま来ていた肉野菜さんやひとみさんとも合流して結局朝まで一睡もせずに過ごした。

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先ほどの“オリオン座”のライブ映像に続いて、ちょうどこのブログを書いている時に10月28日に行われるこのChim↑Pom主催のイベントの2日目に大森さんが出演することが発表された。何だかここ最近そんな偶然が続くので、残りのツアーもまた色々と起こりそうで楽しみである。

2016/10/14 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR NAGOYA● CLUB QUATTRO

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」4日目の名古屋公演を見てきた。

これまでの秋田、長崎、大分は全て弾語り公演で、4日目の名古屋が今回のツアーで初のバンド編成でのライブとなる。大森さんは8月のブログで今回の全国ツアーを機に新たなバンドを結成することを発表しており、そのバンドの名称とメンバー構成は以下のとおり(大森さんのLINE BLOGより転載)。

 

TOKYO BLACK HOLEツアーバンド

新⚫️z(しんぶらっくほーるず)

ギター あーちゃん(きのこ帝国)、畠山KJ(H Mountains)

ベース えらめぐみ(股下89)

キーボード カメダタク(オワリカラ)※福岡、岡山は不在です

ハイパー サクライケンタ

ドラム ピエール中野

 

夏フェスまでのバンドと同じメンバーはギターの畠山さんとドラムのピエール中野さんのみ。また、以前のバンドメンバーは全員男性だったが、今回はきのこ帝国のギターのあーちゃんさんと股下89などのベースのえらめぐみさんという女性2人が新たに加わった。また、オワリカラのキーボードのカメダタクさんは大森靖子&THEピンクトカレフ以来のカムバック。そしてMaison book girlなどのプロデュースを手掛け、ずんね from JC-WCの“14才のおしえて”や、“SHINPIN”“ピンクメトセラ”など大森さんとのコワークも多いサクライケンタさんが謎の“ハイパー”担当として加入した。

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このバンドメンバーを発表した時のブログに“シンゴジラ”というワードが出てきていたのだが、この日見た新⚫️zのライブはまさに“シンゴジラ”だった。大森さんがゴジラのように暴れ回っているという意味ではなく(曲によってはそんな感じの時もあるが)、ライブのいたるところにネタ(演出)が用意されていて、見終わった後は見た者同士で話して盛り上がりたくなるし、まだライブを見ていない人にはぜひそのネタを知らないまま見てほしい、というもので、いっそのことライブの内容をツイート禁止にしたらそれもまた話題性があって面白いのではと思ったりした。したがって、ここではなるべくネタバレにならないようにMCの内容などのみを書こうと思うので、肝心のライブの内容についてはぜひツアーに足を運んで直接その目で見て確かめてほしいと思う。

名古屋公演の日は平日(金曜)だったが、会社はこのライブのために大分前から有休を取っていた。ただ、この日は早く行って観光する気分でもなかったので、名古屋へは16時半頃に到着する新幹線で向かった。名古屋駅からこの日の会場であるCLUB QUATTROまでは地下鉄で行った方が早いのだが、18時の開場まではまだ時間もあったので名古屋の街を散歩がてら歩いて向かうことにした。

CLUB QUATTROが入っている名古屋パルコが見えてきたところで、この風景前にも見たことあるな…と思ったら、2014年1月18日に原爆BiS階段(the原爆オナニーズ×非常階段×BiS)のライブが同じ会場であったのを思い出した。この時は確か土曜日だったが会社の出勤日で、仕事終わりに新幹線に飛び乗って見に行ったのを覚えている。

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18時前に名古屋パルコ東館の8階にあるCLUB QUATTROに着くと、既に整理番号順の列が出来ており、知り合いの大森さんファン何人かと会った。これまでの秋田、長崎、大分と比べると、平日ということもあり遠征組はずっと少ない印象だった。間も無くして入場が開始。

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この日は30番台とまずまずの良番だったので、入場後素早く荷物をロッカーにしまってフロアへ。3列目の位置でかなりさん、えっちゃんさんとこれまでのツアーでの出来事やこの日のステージのセッティングなどについてあれこれ話しながら開演を待った。

この日のセットリストは以下のとおり(これすらもネタバレといえるので、気になる方はこれ以降読まないことをおすすめする)。

ミッドナイト清純異性交遊

生kill the time 4 you、、♡

イミテーションガール

私は面白い絶対面白いたぶん

超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS

ピンクメトセラ

絶対彼女

劇的JOY!ビフォーアフター

愛してる.com

子供じゃないもん17

さっちゃんのセクシーカレー

オリオン座

給食当番制反対

少女漫画少年漫画

君と映画

キラキラ

KITTY’S BLUES

あまい

TOKYO BLACK HOLE

音楽を捨てよ、そして音楽へ

 

アンコール

少女3号

マジックミラー

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ライブは“ミッドナイト清純異性交遊”からスタートし、“超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS”までほぼぶっ通しでやってからMCへ。大森さんが名古屋は洗脳ツアー以来1年半ぶりで、当時はお腹に子供がいたが、今日はいくらでも動けるので皆と全力で楽しみたい、と話したところで、足元に付けていたリボンが解けていることに気付く。すると、フロアの方に近付いてリボンが解けた方の足をフロアの柵の上に乗せ、最前のお客さんにリボンを結ばせていた(知っている人だったがプライベートなことをイジられていたので名前は伏せておく)。

“ピンクメトセラ”が終わったところで、ツアー初日の秋田と同様に“絶対彼女”のソロを歌ってくれる人を募集したところ、予想外に多くの人が手を挙げた(前の方にいたのでちゃんと確認できていないが、10~20人位?)。そのため急遽じゃんけん大会を行い、最後まで勝ち残った女性が歌うことになった。女性にはオリジナルのナナちゃんピックがプレゼントされた。そして、大森さんがこの日エゴサーチをして見つけたツイートで、「お姉ちゃんと大森靖子のライブ行くんだけど何この客層…」と書かれていたらしく、自分で見ても自分が好きな女の子と若くても老けて見えるおっさんがいるのすごいもんね、最高!と言って、それを活かした曲ということで“絶対彼女”を歌い始めた。女性のソロパートでは周りのお客さんがアドリブで女性に向かってケチャをするなど、和気あいあいとした雰囲気で楽しかった。

“子供じゃないもん17”の後のMCでは、この曲はジョージ朝倉さんの「ハートを打ちのめせ!」の登場人物がモデルになっていて、同じくジョージ朝倉さんの「溺れるナイフ」が原作となった映画で自分の曲がカバーされているという話をしていた。そして次の“さっちゃんのセクシーカレー”についてもモデルになった女性の話をしていた(畠山さんからツイートNGが出たので詳しく書くのは控える)。

“少女漫画少年漫画”を歌い終わった後、これは少女漫画も少年漫画も好きで読んでいるけど、どちらにも自分がいる気がしない、入れないという曲とのことで、自分自身はジェンダー的な迷いはないが、日によって男になれたり女になれたりしたらいいのにとか、道重さんになれたら最高なのに、という話をして、毎朝目が覚めると大森靖子で残念だと思う、でもそんな私が書いた曲がこんなにたくさんの人に届いてとても嬉しい、今日は来てくれてありがとうございます、と観客にお礼を述べていた。そして、私もただの人なので、愚痴とかをDMで送ってほしい、1時間に〇通ぐらい届くのでタイムラインみたいに流れていくのだが、なるべく全部読んでいるので、と言って、皆とこういう距離感でいたいという曲、ということで“君と映画”を歌った。

本編最後の“音楽を捨てよ、そして音楽へ”で印象的だったのは、ギターを弾いているあーちゃんさんの目に光るものが見えたような気がしたことだった。この曲での大森さんはもはや神々しさすら感じるので、あーちゃんさんもそれを見てこみ上げるものがあったのかは定かでないが、そのあーちゃんさんの表情と、熱い思いをぶつけるように激しくギターを弾く姿を見てグッとくるものがあったのは確かだった。個人的に新⚫️zで目を引くのはそのあーちゃんさんで、以前のバンドでは直枝政広さん(カーネーション)や小森清貴さん(壊れかけのテープレコーダーズ、ex大森靖子&THEピンクトカレフ)が務めていた上手側のポジションでのギターを担っている。以前のバンドでは、ギターは直江さんと畠山さん、あるいは小森さんと畠山さんという組み合わせだったが、いずれも良くも悪くも二人がバラバラに弾いている印象があったのに対して、畠山さんとあーちゃんさんは何となく二人で一組というか、あーちゃんさんがよく下手側(畠山さんやえらさんがいる方)を見ながらギターを弾いているところや、長髪を振り乱しながら畠山さんと同じ様に激しくギターを弾いているところを見ると、時には畠山さんとあーちゃんさんがお互い共鳴し合って音を鳴らしているようにも感じるし、時にはお互い張り合うようにギターバトルをしているようにも感じて、注目して見ているととても面白い。ライブ中はつい大森さんに目が行きがちだが、新⚫️zのメンバーのパフォーマンスにも目を配ってみると色々と気付くことがある。

アンコールのMCでは、名古屋は11月30日にもElectric Lady Landで女王蜂との対バンがあるので、今日この曲が良かったと書いてくれたらやります、と言っていた。また、愛媛県出身なのによく愛知県出身と間違えられるので、今日から愛知県出身にします、と宣言し、今日は地元のライブとっても楽しかったです!と締めくくって観客の笑いと拍手喝采を起こしてから、“少女3号”“マジックミラー”を歌ってこの日のライブは終了。

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ライブ終了後、仕事から駆けつけて見に来ていたおおたけおさんと会い、短い時間だったが見たばかりのライブの感想を熱く語り合った。新幹線の終電まであまり時間が無かったので、他の人達とはろくに話ができないまま離脱して名古屋駅へ向かい、新幹線のホームで急いできしめんを食べた。後は新幹線に乗って東京へ帰るだけ、というところで思いもよらぬ出来事が起こり、こんなこともあるのかと思った。

今回の全国ツアーでは初のバンド編成でのライブだったが、今年の夏フェスでのバンドのライブとは全く別物だった。何より印象的だったのは、以前のエントリーでロッキンでのライブをドラクエでいう「ガンガンいこうぜ」のような感じと例えたのだが、それくらい夏フェスでの大森靖子バンドは攻撃的で戦闘モードだった。それに対して新⚫️zのライブは「とことん楽しもうぜ」(ドラクエにそんなものはないが)という感じで、とにかく大森さんやバンドメンバー自身がとても楽しそうにライブをしていた。そして、ライブの随所に散りばめられたネタも相まって、見ているこちらもとても楽しめるエンターテイメントに仕上がっていた。

もちろんバンドメンバーが変わったことによる変化も大きく、先ほどのあーちゃんさん以外にも、サクライケンタさんは確かに“ハイパー”担当という表現がピッタリのマルチぶりだったことや、女性が2人加わったことによってビジュアルの印象も変わったことなど挙げるときりがないが、色々な発見や驚きがあって初見のバンドのライブを見ているような新鮮な感覚だった。ぜひ一人でも多くの人にこの大森靖子バンドの最新型である新⚫️zのライブを目撃し、体験してほしいと思う。

2016/10/09 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR OITA● 別府ブルーバード劇場

大森靖子さんの全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」初日の秋田公演に続き、3日目の大分公演を見てきた。

この前日には長崎の旧香港上海銀行長崎支店記念館で2日目の公演が行われていた。長崎公演と大分公演が行われたのが10月8日(土)〜10日(月・体育の日)の3連休だったこともあり、多くの関東や関西の大森さんファンも両公演を見るために2泊3日や3泊4日の日程を組んで遠征していて、観光やグルメなども含めてかなり満喫していたようだった。

僕は長崎公演の日は他の用事があって行けなかったため、1泊2日の日程で大分公演だけを見に当日の朝、飛行機で現地に向かった。大分空港からこの日のライブが行われる別府へはバスで移動し、昼前に到着。知り合いの大森さんファンは皆長崎から大分へ移動中だったため、一人で昼食を食べたり温泉に入ったりして過ごした。夕方頃にさいとうさん、しなもんさん、ごっちんさん、ちひろさん、あさみさん、ひとみさん、すいかさん、なぎさんと合流した。9人中6人が今回のツアーグッズである“意識高いT”を着ていたので、ノリでこの日のライブ会場であるブルーバード劇場やその近くの商店街でアー写風の写真を撮ったり、映画やMVのワンシーン風の動画を撮ったりして遊んだ。

開場までの休憩がてら喫茶店に入ったら頼んだものがなかなか出て来ず、開場時間ぎりぎりになってしまったので皆で慌てて会場へ向かう羽目になった。ブルーバード劇場に着くと外まで入場列が出来ており、しばらくして入場が開始した。会場である3階のフレックスホールは小ぢんまりとした劇場で、席数は数えたところ180だった。

整理番号70番台で入場したが席はまだそれほど埋まっていなかったので、どの辺りで見るかしばらく迷ってから後方ブロックの中央通路側に座った。通路を挟んで反対側にはかなりさんが座っていた。物販を買いに行こうとしたところでおすぎさんに話し掛けられ、多分ワールドハピネス以来だったので元気そうな姿を見られてよかった。物販で念願(?)の意識高いTとピンクメトセライトを購入し、トイレで早速意識高いTに着替えて劇場に戻ると、大森さんのPV集の上映が始まっていた。

映画館の大きいスクリーンと音響設備で大森さんのPVの数々を見るのは予想以上に面白かった。僕が劇場に戻った時には“マジックミラー”が流れていて、その後は“生kill the time 4 you、、♡”“ピンクメトセラ”“勹″ッと<るSUMMER”“ウエディング・ベル”と流れていた。この流れからすると最初に“TOKYO BLACK HOLE”が流れていたのかもしれない(未確認)。

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ファンクラブ限定でライブDVDとかの上映会を映画館でやってほしい(ボソッ)

開演前はステージが暗かったため見えていなかったのだが、PV集の上映が終わってステージの照明が点くと上手側にピアノがあることに気付いた。今回の全国ツアーでピアノがあるのは長崎だけだと思い込んでいたので、ピアノ弾語りが聴けると分かって一気に気分が高まった。間もなくして大森さんが登場し、ライブが開始した。この日のセットリストは以下のとおり。

 <ギター弾語り①>

TOKYO BLACK HOLE

I love you

さっちゃんのセクシーカレー

非国民的ヒーロー

あまい

(Over The Party)

マジックミラー

音楽を捨てよ、そして音楽へ

コーヒータイム

給食当番制反対

 

<ピアノ弾語り>

KITTY'S BLUES

オリオン座

さようなら

キラキラ

青い部屋

 

<ギター弾語り②>

呪いは水色

ハンドメイドホーム

少女漫画少年漫画

愛してる.com

絶対彼女

ミッドナイト清純異性交遊

 

アンコール

<ギター弾語り③>

(焼肉デート)

秘めごと

デートはやめよう

あたし天使の堪忍袋

PINK

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秋田公演は初日だったことやLINE LIVEの生配信があったこと、大森さんを360度囲むような席の配置だったため向かいのお客さんに見られているように感じたこともあり、妙な緊張感があったが、この日はそれと比べると幾分リラックスした雰囲気で始まった感じだった。

まずはギターの弾語りで“TOKYO BLACK HOLE”“I love you”“さっちゃんのセクシーカレー”を続けて演奏。“I love you”はとても好きな曲なので、序盤で早速聴けて嬉しかった。その後のMCでは“さっちゃんのセクシーカレー”のMVには玉ねぎを切るシーンがあるが、次に歌う“非国民的ヒーロー”のMVにも共作した神聖かまってちゃんのの子さんが玉ねぎを切るシーンがあり、その包丁の手つきが危なっかしくてヒヤヒヤしたという話をしていた(他にも話していたが、内緒でと言っていたので書くのは控える)。

“非国民的ヒーロー”“あまい”に続けて歌おうとした“Over The Party”では歌い出しを噛んでしまい、気を取り直して歌い始めるも再度噛んでしまったため、「MCからいきまーす(笑)」と言ってMCへ。再びの子さんについての話で、共作のきっかけは石川で対バンをして声の混ざりがすごく良いと思ったこと、関係者との打ち合わせの翌日の朝にはの子さんが曲を送ってきて、“ときめき”があるからすぐ出来たと言っていたこと、自分も“ときめき”があると曲を作れること、今日は映画館なのでインディーズの時にサマーセールの上映で全国の映画館を回ってライブをしたことを思い出し、その“ときめき”に近いドキドキを感じることなどを話していた。最後に、今日ピアノを調律してくれた人に基礎がめちゃくちゃでマニア向けだと言われたが、そんなマニア向けの音楽を聴きに来てくれてありがとうございます、と観客へお礼を言って“マジックミラー”でライブを再開した。 

この日の“マジックミラー”は開演前の上映でPVを見たばかりだったので、聴きながら脳内でPVの映像が同時再生されるという面白い体験をした。“音楽を捨てよ、そして音楽へ”を挟んで歌った“コーヒータイム”は、常々リクエストを聞かれたら答えようと思っている曲の一つなので聴けて嬉しかった。その次の“給食当番制反対”を歌い終えると、曲間を空けまいとするかのようにギターを置いてそそくさとピアノへ移動し、ピアノ弾語りを開始。

一曲目は“KITTY'S BLUES”、続いて新曲の“オリオン座”。前日の長崎でこの曲をピアノ弾語りで歌ったのを知ってかなりグギっていたので、それを聴けるというだけでも嬉しかったのだが、この曲が実にピアノと相性がよく、音色がどんどん体に入り込んでくるというか、自分のキャパではこの素晴らしさを受け止めきれない…!と思ったくらい想像を遥かに上回る素晴らしさだった。終演後にさいとうさんから聞いたところによると、この日は前日の長崎より間奏が長くなっていたようだった。続く“さようなら”は途中で一旦ピアノの演奏を止めて、アカペラで手振りを交えながら歌っていた。そして“さようなら”から切れ目なく“キラキラ”のイントロに入ると、音源のピアノバージョンが好きな自分としてはうおぉ…!となった。少しテンポが早めで音源とはまた違った印象の演奏だったのもとても良かった。個人的にはこの“オリオン座”“さようなら”“キラキラ”の流れがこの日のハイライトだった。最後に“青い部屋”を歌ってピアノ弾語りは終了。

ギター弾語りに戻って “呪いは水色”を歌ったところでMCに入り、大森さんが “呪いは水色”の時に髪が喉に刺さっていて痛かったが良い感じの声が出たという話をしながら水を飲んでいたら、観客も一斉に飲み物を飲んでいるのに気付く。「今まで考えたこと無かったけど、こっちが飲まないと飲みづらいよね」と言っていたが、観客の多くがピアノ弾語りでの、時に立ち上がりながら、時に椅子に体育座りのような丸まった姿勢で座りながら演奏する大森さんの圧倒的な雰囲気に、飲み物を飲むのを忘れるくらい引き込まれていたのだと思う。そして“傷つきながら大人になっていく”系の歌詞がJ-POPに多いが、傷つくことを美化されてたまるか、傷は辛い、でもさっきの“呪いは水色”の時は良い感じだったからどっち…矛盾…、という話をして、“ハンドメイドホーム”でライブを再開した。

その次の“少女漫画少年漫画”の後のMCでは、最新アルバムの“TOKYO BLACK HOLE”には学校シリーズの曲(“給食当番制反対”“少女漫画少年漫画”)が多いが、自分の曲には“トイレ”の歌詞も多いと人に指摘されて気付いたこと、通っていた学校のトイレは窓から見える景色がとても良くて気に入っていて、いつも授業をサボってそこにいたが、それが普通だったのでなかなか曲で描くことができなかったこと、銀杏BOYZの峯田さんなどが恋愛の曲は別れないと出来ないと言っていて、何を言っているんだろうと思っていたが、トイレの話でそういうことかと気付き、今になって学校の歌を歌っているのだと思っていること、“マジックミラー”はメジャーデビューをして自分はこういうことを考えていると表明するために仕方なく書いたが、それよりは情景描写がしたいと考えていて、情景描写は気持ちが消えた後の方ができるので、早く色んな気持ちを消して色んな風景を描けるようになりたいと思っていることなどを話していた。そして“夏果て”は殺人事件と直接的に言っていないのに寂しい殺人事件の風景を上手く描けたので好きな曲だという話をしたものの、今日暗くない?と言って“夏果て”は歌わずに最新アルバムからやろうということで“愛してる.com”を歌った。

“絶対彼女”ではおっさんパートを聴いた大森さんが「何か上手くなってる…(笑)結構音程難しいのに滑らかな声でありがとうございます」と満足したため途中で終了し、前日に長崎でやったという絶対彼女ゲームをやることになった。せんだみつおゲーム方式で指名された人が歌い、その人が次に歌う人を指名していくというルールらしいが、最初に指名されたのがおすぎさんだった。おすぎさんが美声を披露し、その次に女性が一人か二人歌ったところで失敗(?)して終了した。歌ったおすぎさん達にはピックがプレゼントされていた。本編最後は物販で売っているピンクメトセライトを振る曲ということで、“ミッドナイト清純異性交遊”を歌って終了。

アンコールはファンが“意識高いT”に気を取られ過ぎて他の物販が売れないということで、美マネからの指示(?)によりTOKYO PINK HOLE Tを着て登場。このTシャツの前面のプリントは透明箔らしく、背面にはツアーの会場などがプリントされていて、それが美マネのお気に入りらしかった。また、瓶入りの金平糖(ナナちゃんの魔法の星屑ピンクメトセラ)は、かわいい瓶にしたいがために瓶だけ発注して、金平糖は別途業者に頼んで詰めているくらいこだわっているという話をしていた。

物販の話が終わりふと大森さんが「二宮くんは何の曲が歌えるの?」と聞くと、二宮さんが「全部」と答えるという、秋田でもやっていた件を始めた(長崎でもやっていたようなので定番化したらしい)。お客さんからのリクエストで“焼肉デート”を歌うことになったのだが、サビを何度かトライするも歌詞が出て来なかったため、大森さんが痺れを切らして「もうこのコーナーやらない」と言って終了した。弾語りはまだ広島が残っているので、二宮さんにはそれまでに歌詞を全部覚えてリベンジしてほしいと思う。その流れで二宮さんの話になり、この日は楽屋で珍しく大声で「とり天うますぎる!こんなうまいのに全国展開しないのはおかしい!」と言っていたらしく、鳥取は変な人しかいないという話をしていた。

そしてTwitterのDMで女性からリクエストが来ていて、その人は自分の上半身がクリトリック・リスに似ていると言っていて腹を抱えて笑ったので、リクエストに応えないと人でなしだと思ったということで“秘めごと”を歌った。冒頭の歌詞をしばらく歌ってから「(女性の話と)繋がってる(笑)」と気付いて笑っていた。その後、“デートはやめよう”“あたし天使の堪忍袋”とお客さんが一緒に歌う曲を2曲続けて歌い、最後は“PINK”でライブ終了。

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ライブ終了後は大森さんファン二十人以上の大所帯で反省会を行った。僕自身後で自己嫌悪に陥るくらい悪ノリをしてしまったのでここで詳細を書くのは控えるが、その日の反省会のトレンドは“#肉野菜許さない”と“#あぁちゅ最高”だったとだけ記しておく。翌日は夜の飛行機の時間まで大分観光を満喫して東京に帰った。

このライブの日の4日後に更新された大森さんのブログで、大森さんが母方の祖父の米寿のお祝いに行った際に、その祖父が昔から趣味にしていた甲子園の中継がテレビから爆音で流れているのを見て、「私には何がのこるんだろうか、あの爆音の甲子園のような 何かが、今も見ている風景のカケラであればいいのだけれど。」と書いていて、少しこの日のMCと重なると思った。実は僕はその大森さんの祖父と同じ仕事をしていて(以前何かのイベントの時に大森さんが教えてくれた)、僕も今見ている風景のカケラを残したくてこのブログを書いているのかもしれないと思った。

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2016/10/01 大森靖子@TOKYO BLACK HOLE TOUR AKITA● 湧太郎 國之譽ホール

大森靖子さんの全国ツアー初日の秋田公演を見て来たので、そのことについて書こうと思う。

今回の大森さんのツアーは、今年3月に発売したアルバムのタイトルを冠した「TOKYO BLACK HOLE TOUR」と題して、10月1日の秋田から11月18日の東京ファイナルまで全国12ヶ所を回るものとなっている。全国ツアーを行うのは、昨年3,4月に行われた洗脳ツアー(❤爆裂!ナナちゃんとイく ラブラブ洗脳ツアー❤)以来1年半ぶりとなる。

12ヶ所の会場はキャパ100人未満のライブハウスからZEPP TOKYOまでと幅広く、また秋田、長崎、大分、広島は弾語り、残りはバンド編成でのライブとなっている。

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ツアー初日である秋田公演は、地元にあるゴマシオキッチンという喫茶店を営んでいる進藤さんという方がコーディネートをしている。進藤さんは、この秋田公演のつい一週間ほど前の9月22日に同じく秋田で開催されたハイコーフェスの実行委員長を務めていた方でもある。このフェスにも大森さんは出演しており、間を置かずに再び秋田でライブを行うことになる。大森さんと進藤さんの関係性については、昨年の洗脳ツアーの秋田公演のライブレポートを読むとよく分かる。

大森靖子、秋田の小さな喫茶店でツアー折り返し 複雑な胸中を明かす——OTOTOYライヴ・レポート

ototoy.jp

また、進藤さんは今回の秋田公演に対する思いなどを自身のブログに綴っており、その文章からは純粋で熱い人柄が伝わってくる。

gomashioシェフのノートbook「大森靖子2016年全国ツアー「TOKYO BLACK HOLE TOUR」 AKITA● 湧太郎 國之譽ホール公演について」

gomashio3.exblog.jp

僕は約一週間前のハイコーフェスに行った際に少しだけ進藤さんとお話させていただいたが、ブログの文章から受ける印象通りのまっすぐで優しい方だった。その時の大森さんのライブでは進藤さんが前説と後説をやっていて、時折感極まりながら話す姿は大森さんに対する並々ならぬ愛を感じるものだった。今回の秋田公演はそんな進藤さんに再びお目にかかれるのも楽しみだった。

当日は始発の秋田新幹線に乗って秋田へ向かい、ライブ会場の最寄駅である大曲(おおまがり)の一つ手前の角館(かくのだて)という駅で途中下車し、お昼過ぎまでぶらぶらと観光をした。角館は“みちのくの小京都”と言われていて、歴史を感じる武家屋敷の町並みを見ながら歩くのは気持ち良かった。小京都というだけあって3〜5時間あれば一通り回れてしまうので、周辺と組み合わせて観光するのに丁度いい場所だと思った。

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角館から大曲への普通電車は1日に7本しかなく、余った時間は温泉に入ったりして過ごし、大森さんのライブに間に合うギリギリの13時50分の電車で大曲へ向かった。

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大曲駅に着いた後は少し歩いた所にあるバスターミナルから、進藤さんのブログによれば「羽後交通バス 横手行き」または「羽後交通バス 横手病院行き」に乗車し、「六郷米町停留所」で降車して徒歩5分程度で会場に着くとのことだった。僕はゴマシオキッチンに立ち寄るために一つ手前の「六郷上町停留所」で降り、外観だけ一目見てから会場に歩いて向かった。いつか通常営業している時にまた訪れてみたいと思う。

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ライブ会場である「名水市場 湧太郎」には開場1時間前の15時頃に到着した。ここは清水と酒をテーマとした多目的施設で、その中にある「國之譽ホール」は明治30年に建築された旧「國之譽」酒造の蔵を改修したものとのこと。他にも町内に湧き出る清水や町の歴史、町の産業として伝わる酒造りの技などの学習ができる「水文館」、美郷町観光情報センター、資料館、ショップ、レストランなどがあり、明らかに普段ライブをやる場所ではなかった。そんな場所で行われるライブをこれから見ると思うと否が応でもワクワクした。

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中に入ってすぐのところに國之譽ホールの入り口があり、そこには進藤さん達による手作りの飾り付けがされていて、TOKYO BLACK HOLEのリリースイベント期間中に登場した顔ハメパネルのオマージュであるAKITA BLACK HOLEの顔ハメパネルも設置されていた。そのうち、おおたけおさん、肉野菜さん、初めましての犬さんなど、大森さんファンの方達と合流して雑談しながら開場を待った。

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この日の会場は椅子席で、席に予め番号が振ってあり自分のチケット番号の席に座る仕組みになっていた。特に番号順に呼び込んだり整列したりせずに入場を開始したため、開場直後は入り口がお客さんでごった返していたので、落ち着くまで待ってから入場した。入場時に“愛してる.紙copドリンク”と大森さん仕様のオリジナルパッケージのビスコをもらい、早速皆テンションが上がっていた。また、進藤さんとその奥さん(大森さんが“秋田のももち”と名付けた方で、これが本当によく似ている)が、僕がハイコーフェスに来ていたのを覚えてくれていたようで、向こうから声を掛けてきてくれたのが嬉しかった。紙コップには一個一個手書きでTOKYO BLACK HOLEの大森さんのイラストと大森さんの曲の歌詞が描かれており、写真には写っていないが大森さんのサインも入っていた。終演後、水飲み場で紙コップを持って帰るためにせっせと洗ったのだが、紙コップを大事そうに洗っている姿は知らない人から見たら不審だったと思う…。

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この日は新しいツアーグッズが販売を開始していたのと、10月26日発売のシングル“POSITIVE STRESS”の予約販売も行っており、予約購入するとこの日だけの限定くじが引けるようになっていて、物販はとても混雑していた。

限定くじの一等をなんと知り合い(一応名前は伏せておく)が当てていて、皆から羨望の眼差しを向けられていた。“★SEIKO♥”とサインが入ったシャネルのリップで、大森さんが一度使ったとか使っていないとか…。

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愛くるしさで全大森さんファンからの恨みを中和させようと試みるの図

会場内の装飾も凝っていて、皆写真を撮ったり、新しいツアーグッズの“意識高いT”に早速着替えている人もいたりして、開演前から会場内はとても高揚した雰囲気に包まれていた。会場には一段高くなった縦長の長方形のステージが中央に配置されていて、奥からその中央のステージに花道が伸びて繋がるというレイアウトになっていた。ピンク色のステージの上に大量のピンク色の風船がばら撒かれていて、風船にはキティの絵と大森さんの名前が書かれていた。この風船も紙コップ同様、終演後に皆せっせと空気を抜いて持って帰っていた。

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一枚目の画像はこの日PAを担当していた中嶋優さんのツイートから拝借しました。

椅子席はステージを360度取り囲むように配置されており、席数は恐らく150位でゆったりしていてとても見やすかった。席の配置に合わせて、手前を向いて歌う用のマイクと奥を向いて歌う用のマイクが2本置かれていて、ライブ中大森さんが交互に向きを変えながら歌うことによってどの席からも平等に大森さんの顔が見えるようにするための配慮だった。さらにはサイドにもマイクが設置されていて、大森さんがメインのマイクから離れて歌っても音が拾えるようになっていた。進藤さんのブログには「ちゃんと音響設備が揃っている訳でもありません」と書いてあったが、会場の四隅に置かれたスピーカーもいい感じで、個人的にこの日の音響はとても良かったと思った。

開演時間の17時になって間も無く大森さんが会場の奥から花道を通って登場。この日は黒のざっくりとしたロング丈のニットに、首には十字架のペンダント、裸足という出で立ちだった。セットリストは以下のとおり。

 

TOKYO BLACK HOLE

マジックミラー

PINK

絶対彼女

夏果て

さっちゃんのセクシーカレー

ハンドメイドホーム

非国民的ヒーロー

春の公園(調布にて)

呪いは水色

給食当番制反対

ミッドナイト清純異性交遊

KITTY'S BLUES

オリオン座

魔法が使えないなら

お茶碗

Over The Party

SHINPIN

少女漫画少年漫画

 

アンコール

背中のジッパー

デートはやめよう w/二宮ユーキ

愛してる.com

さようなら

 

新曲の“オリオン座”まではLINE LIVEでの配信が行われていた。アーカイブが残っており、しばらくの間見ることができるようになっている。

live.line.me

この日は最初からTOKYO BLACK HOLE、マジックミラー、PINKというバンドセットでも定番となっている曲を続けて演奏。3曲を歌い終わった後に「満足しちゃった(笑)」と言っていた。TOKYO BLACK HOLEからマジックミラーに移る時にアルバムを再現するかのように弦をギュイーンとやっていて、これって前からやっていたかな?と思った。

次の“絶対彼女”を始める前に大森さんが「(客席が)色んな方向があるからと思って色んな方向にマイクを立ててみたんだけど、マイクが2本あるから歌いたい人これ持ってもらってね。絶対彼女のソロやりたい人?」と言うと、最前のお客さんがすかさず手を挙げ、大森さんからピンクのマイクを渡される。ちなみにそのお客さんはハイコーフェスでも大森さんのライブを最前で見ていたのを覚えていて、地元の熱心な大森さんファンの方だと勝手に推測している。この日は「絶対女の子 絶対女の子 絶対女の子がいいな」のパートを女子→おっさん→最前のお客さんソロ→全員の順番で歌った。全員で歌った時に大森さんが、最前のお客さんがなぜか一オクターブ上げて歌っていたことに気付いて、お客さん全員にも一オクターブ上げて歌わせたり、反対に一オクターブ下げて歌わせたりしていて、大森さんもお客さんも楽しそうだった。この時に大森さんと観客との距離が一気に縮まって、会場全体に一体感が生まれたように感じた。

“夏果て”、“さっちゃんのセクシーカレー”、“ハンドメイドホーム”と新旧の楽曲が続き、その後のMCで「TOKYO BLACK HOLEのツアーですけど、全部のアルバムから平等にやっているので、アマゾンで大森靖子を検索して、星の数とか気にせずに買ってください」と宣伝。そして、次回のシングルの特典ポスターの話から派生して、小学生の時に住んでいた社宅に自分の絵を飾ったらボロボロになったというエピソードを披露した後、新曲の“非国民的ヒーロー”を歌った。この曲は作曲が神聖かまってちゃんのの子さん、作詞が大森さんということで、歌い終わった後に「作曲分の余力を振り絞った歌詞になっているので、CDを買って歌詞を朗読してください」と言っていた。その流れで「途中から朗読になっているみたいな曲」ということで、“春の公園(調布にて)”を歌った。この曲は最近ライブで立て続けに歌っているので、近々何らかの形で音源化されるのかもしれない。

“ミッドナイト清純異性交遊”では、歌う前に最前列の男女のお客さんの協力を得て、LINE LIVE向けにツアーグッズの宣伝を始めた。男性の方のお客さん(知り合いだがLINE LIVEの映像に顔が映っていたので名前は伏せておく)は、前回のツアーグッズの処女膜再生ステッキと今回のツアーグッズであるピンクメトセライトの両方を持っていて、大森さんが処女膜再生ステッキの方を指して「何で君が持っているの?」と分かる人には分かるイジりをしていて面白かった。グッズは大森さん自らが監修していて細かい所までこだわっているという話をして、その次に意識高いTの宣伝をしようとしたところで、男性の方のお客さんが着ている意識高いTを見て、「ちょっとピチピチだもんね。サイズこれしかなかった?いけると思って買っちゃったの?じゃあ自己責任だね」とさらにイジりを加えていた。意識高いTは着るのに若干勇気がいるが、着てくれたら私が喜ぶ度合いが高いという話をして、ツアーの宣伝もしてから“ミッドナイト清純異性交遊”を歌った。会場の照明が少し落ちて暗くなったこともあり、四方からピンクのライトが大森さんにケチャする光景がとてもきれいだった。

その次のKITTY’S BLUESが終わった後に、大森さんが進藤さんの前説が無かったことに気付くが、進藤さんは大森さんが入り込んでいたからと言っていた。大森さんがそのまま今回の進藤さん達の装飾について触れ、一番気に入っているのは「大森」の文字が印刷された紙が会場の壁に大量に貼られている所で、ストーカーが部屋に好きな人の写真を貼るところを文字で貼ってあるのが私らしいと言っていた。そして、「大森」の字はブロック体だけど明朝体の曲を作ってきた、と言って新曲の“オリオン座”を演奏した。この曲はハイコーフェスの翌日に新宿LOFTで行われた生ハムと焼うどんとの2マンライブで初披露されたもので、この日が2回目の演奏だったが、ライブの後しばらく頭の中でメロディーがループし続けていたくらい深く印象に残る曲である。

ここでLINE LIVEの配信が終了し、終わった途端に大森さんが「やったー!」と叫んで“魔法が使えないなら”を歌い始める。そのギアの上げっぷりがすごく、これから私たちだけの楽しい時間が始まるぞ!と言わんばかりに溜めていたエネルギーを一気に爆発させるような歌とギターの演奏だった。あの“ギアが上がった”大森さんを見たお客さんの多くが、今日わざわざ来た甲斐があったと思ったに違いない。

続いて二宮さんの安定のリクエストで“お茶碗”。大森さんが「TOKYO BLACK HOLE TOURだよ⤴(笑)」とツッコミを入れていた。その後のMCで、“お茶碗”は長い間歌っている曲で、去年の3月4月の洗脳ツアーでも歌っていて、それから1年半ぶりのツアーが今日始まったこと、洗脳ツアーではアイドルの働きぶりを見て2回公演にしたら妊娠をしたため大変だったこと、今回は自分一人だけの体で気持ち良く歌えて、皆に聴いてもらって、ツアーを1年半も待ってくれて本当に嬉しく思っていることなどを話していた。一通り話した後で、「これをLINE LIVE で喋ればツアー来てくれたかもしれない、しくじった…!」と言っていたけど、確かに今回のツアーにかける思いが伝わる良いMCだった。

次の“Over The Party”の前に水を飲みながら歌を歌っていて、YouTubeで子供が泣き止む動画で検索したら出てくると言っていたが、多分この歌。

youtu.be

本編最後は最新アルバムからの2曲だったが、“少女漫画少年漫画”はこの日のライブの中で白眉だった。ステージを動き回りながら360度全方位のお客さんに届けようとするように歌っていて、お客さんのすぐ近くでうずくまるようにして演奏する場面もあった。最後は花道の一番奥に立って会場全体を見渡すようにして歌い終え、本編が終了した。

大森さんは「アンコールは進藤さんの前説で出てくるので、進藤!進藤!コールをお願いします!」と言って一旦捌ける。お客さんが手拍子をしながら進藤コールをすると、進藤さんがステージに上がって「ウィー!」と片手を上げて叫んだり、ステージ上で転がったりして一笑い起こす。「バスの時間もあるので…」ということですぐに「俺に浴びせるように靖子コールをお願いします!」と言って靖子コールをして、大森さんが再び登場。進藤さんが大森さんに「すべりましたね」と言うと、大森さんが「私のMCよりまとまっていてよかったよ」と言い、進藤さんにおニューのマイピックをプレゼントした。

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そして「君もソロをしてくれたからあげるよ」と“絶対彼女”でソロを歌った最前のお客さんにもピックをプレゼントした。するとここでけんごさんが大森さんに「今日誕生日!」と呼び掛ける。大森さんが「おめでとう~勇気を振り絞って言ったんだね(笑)」と言ってリクエストを聞くと、けんごさんは“背中のジッパー”と答えた。大森さんは歌詞を覚えているか自信がないとのことで、覚えていなかったら代わりに歌うようけんごさんにマイクを渡した。何度も「詰まったら歌ってね」と前フリ(?)をしてから歌い始め、一番は難なく歌ったが、二番で案の定(?)歌詞が出てこなくて止まってしまったところでけんごさんが歌い始めると、予想外の透き通った声に大森さんが「めっちゃ良い声!(笑)」と驚いて、お客さんからもどよめきが起こった。しばらくして大森さんも再び歌い始め、そのままデュエットをして最後まで歌い終えると会場全体から大きな拍手が起こった。歌い終わった後に大森さんがけんごさんにもピックをプレゼントした。

ここで大森さんがカメラを撮影している二宮さんに向かって「君がああいう歌声だったら…。何か歌える曲ある?」と聞くと、二宮さんが自信満々に「何でも歌える」と答え、会場からのリクエストで“デートはやめよう”を歌うことになった。すると大森さんが二宮さんをステージに上げ、二人が2つのマイクを挟んで向かい合う形になり、デュエットで一曲丸々を歌った。「エロいことをしよう」のところを二宮さんにソロで何度も歌わせて、一旦曲を止めて歌詞に絡めた会話(実験室だったらツイート禁止棒が立つ内容だったので、ここでは詳述するのを控える)をしばらく繰り広げていた。終わった後に二宮さんが「足がプルプルする」と言って、大森さんが「知らんよ(笑)」と返していたが、この曲での二人の一連のやり取りを見て、やっぱりいいコンビだなと微笑ましくなった。デュエットの間も二宮さんはカメラを回していて、ステージ上で大森さんとマイクを挟んで向かい合う二宮さん視点の映像が残っているはずなので、機会があればぜひ見てみたいと思う(途中で際どい会話が交わされているので実験室くらいでしか流せなそうだけど…)。

“愛してる.com”では「愛してる.com更新」のところをお客さんに言わせていた。最後に“さようなら”を夏フェスのバンドセットの時の尖った攻撃的な感じではなく、静かに語りかけるように歌ってライブ終了。

ライブ終了後、同じ日に青森で開催されていた夏の魔物から回して来たまるおさんの車に乗せてもらい、会場から大曲駅まで送ってもらった。駅前の居酒屋で大森さんファン10人ほどで反省会をしたが、その時にテーブルの向かいに座っていたのが、まるおさん、おおたけおさん、かなりさんという個人的関西三大大森さんファンの3人だったのが胸アツだった。

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別々に頼んでいたピザがまとめて来てしまい、秋田まで来てピザパーティをやっているみたいになってしまったの図

反省会が終了し、夜行バス組の肉野菜さんと僕は他の宿泊組の人達と別れてバス乗り場へ向かうと、アンコールでの名シーンを生んだけんごさんに偶然会った。けんごさんがあそこで勇気を出して大森さんに呼び掛けたことで、その後の二宮さんとのデュエットも生まれたからよかった、といった話をした。夜行バスではちょっとしたトラブルがあったが、それも全く気にならないくらい楽しかった秋田遠征だった。

ツアー初日の大森さんは初っ端ということやLINE LIVEの配信もあって色々考えることがあったのか、いつもより歌詞を忘れたり間違えたりすることが多かった気がしたが、今日来て良かった…!と思わせる瞬間を何度も作り出していたし、あの日あの場所であのお客さんだからこそ起こり得た出来事がたくさんあって、その場に居合わせることができて幸せだったと思えるライブだった。昨年の洗脳ツアーの秋田公演のライブレポートの中で、大森さんが「会う人が全部、音楽がないと出会っていない人なんですよ。それがおもしろくて。大げさじゃなくて、音楽が会わせてくれるんだって。今日来た人がひとりでも違っていたら、全然違った音を出しているはずなんですよ。」と話していたと書いてあって、今回のライブでも同じようなことを考えていたのだろうかと思った。これから大森さんが全国各地の人達と会って、どんな音を出し、どんなドラマを生んでいくのだろうと考えると今後のツアーが俄然楽しみになった。